治験審査委員会標準業務手順書

第1章 治験審査委員会

第1条目的と適用範囲

  1. 本手順書は、厚生省令第28号(平成9年3月27日)及び薬発第430号(平成9年3月27日)並びに薬審第445号・薬安第68号(平成9年5月29日)及びその改訂並びに関連通知に基づいて、治験審査委員会の運営に関する手続き及び記録の保存方法を定めるものである。
  2. 本手順書は、医薬品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
  3. 医薬品の再審査申請、再評価申請の際提出すべき資料の収集のための製造販売後臨床試験を行う場合には、本手順書において、「治験」とあるのを「製造販売後臨床試験」と読み替えるものとする。

第2条治験審査委員会の責務

  1. 治験審査委員会は、「治験の原則」に従って、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図なければならない。
  2. 治験審査委員会は、社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払わなければならない。
  3. 治験審査委員会は、倫理的、科学的及び医学的妥当性の観点から治験の実施及び継続等について審査を行わなければならない。

第3条治験審査委員会の設置及び構成

  1. 治験審査委員会は、病院長が指名する者をもって構成する。
    なお、病院長は治験審査委員にはなれないものとする。
    1. 委員長:副院長
    2. 委 員:診療科部長、臨床研究支援室副室長、検査部技師長、看護部長、自然科学以外の委員、外部委員
  2. 委員の任期は1年とするが、再任は妨げない。
  3. 委員長に事故あるときは、臨床研究支援室副室長がその職務を代行する。

第4条治験審査委員会の業務

  1. 治験審査委員会は、その責務の遂行のために、次の最新の資料を病院長から入手しなければならない。
    1. 治験実施計画書(治験責任医師と治験依頼者が合意したもの)
    2. 同意文書及びその他の説明文書(治験責任医師が治験依頼者の協力を得て作成したもの)
    3. 症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は除く)
    4. 被験者の募集手順(広告等)に関する資料(募集する場合)
    5. 治験薬概要書
    6. 被験者の安全等に係る報告
    7. 被験者への支払いに関する資料(支払いがある場合)
    8. 被験者の健康被害に対する補償に関する資料
    9. 治験責任医師の履歴書及び治験分担医師の氏名を記載した文書
    10. 治験の現況の概要に関する資料(継続審査等の場合)
    11. その他治験審査委員会が必要と認める資料
  2. 治験審査委員会は、次の事項について調査審議し、記録を作成する。
    1. 治験を実施することの倫理的、科学的及び医学的見地からの妥当性に関する事項
      • 医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができる等、当該治験を適切に実施できること
      • 治験責任医師及び治験分担医師が当該治験を実施する上で適格であるか否かを最新の履歴書又は治験分担医師・治験協力者リスト(書式2)により検討すること
      • 治験の目的、計画及び実施が妥当なものであること
      • 被験者の同意を得るに際しての同意文書及びその他の説明文書の内容が適切であること
        (同意文書の記載内容が、被験者に理解しやすく、かつ十分な説明がなされているか、定められた説明事項が適切な表現で記載されているか否かについて審議する。なお、被験者の人権、安全及び福祉を保護する上で追加の情報が意味のある寄与をすると判断した場合には、同意文書及びその他の説明文書に求められる事項(厚生省GCP答申7-3)以上の情報を被験者に提供するように要求する。)
      • 被験者の同意を得る方法が適切であること
        (特に被験者の同意取得が困難な場合、非治療的な治験、緊急状況下における救命的治験及び被験者が同意文書等を読めない場合にあっては、厚生省GCP答申7-2-2、7-2-3、7-2-4及び7-2-5に示された内容が説明又は遵守されているかについて審議する)
      • 被験者への健康被害に対する補償の内容が適切であること
        (医療機関、治験責任医師又は治験依頼者の過失によるものであるか否かを問わず被験者の損失が補償されるか否かを審議する)
      • 被験者に対する支払いがある場合には、その内容・方法が適切であること
        (支払がある場合は、支払いの方法、その時期、金額等が同意文書及びその他の説明文書に記述されていることと、その内容が適正であるか否かを審議する)
      • 被験者の募集手順(広告等)がある場合には、募集の方法が適切であること
    2. 治験実施中又は終了時に行う調査・審議事項
      • 被験者の同意が適切に得られていること
      • 以下にあげる治験実施計画書の変更の妥当性を調査、審議すること
      1. 被験者に対する緊急の危険を回避するなど医療上やむを得ない事情のために行った治験実施計画書からの逸脱又は変更
      2. 被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす治験に関するあらゆる変更
      • 治験実施中に当病院で発生した重篤な副作用について検討し、当該治験の継続の可否を審議すること
      • 被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある重大な情報について検討し、当該治験の継続の可否を審議すること
        注)重大な情報
        1. 他施設で発生した重篤で予測できない副作用及び他施設で発生した予測できるが、死亡又は死亡につながるおそれの症例
        2. 重篤な副作用又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症の発生又は発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が治験薬概要書から予測できないもの
        3. 死亡又は死亡につながるおそれのある症例のうち、副作用によるもの又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症によるもの
        4. 副作用もしくは治験薬及び市販医薬品の使用による感染症の発生又は発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告
        5. 治験の対象となる疾患に対し効能若しくは効果を有しないことを示す研究報告
        6. 副作用若しくは感染症によりがんその他の重大な疾病、障害若しくは死亡が発生するおそれがあることを示す研究報告
        7. 当該被験薬と同一成分を含む市販医薬品に係わる製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他の保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
      • 治験の実施状況について少なくとも一年に1回以上調査すること
      • 治験の終了、治験の中止又は中断及び開発の中止を確認すること
    3. その他治験審査委員会が求める事項
    4. 治験依頼者又は治験責任医師より病院長を経由して審査結果に対する異議申立てが出された場合には、これを審議することとする。
  3. 治験審査委員会は、治験責任医師に対して治験審査委員会が治験の実施を承認し、これに基づく病院長の指示、決定が文書で通知される前に被験者を治験に参加させないように求めるものとする。

第5条治験審査委員会の運営

  1. 治験審査委員会は、2カ月に1回、定期(奇数月、原則として第一月曜日)に開催する。但し、病院長から緊急に意見を求められた場合には、随時委員会を開催することができる。
  2. 治験審査委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも1年に1回の頻度で治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査するものとする。なお、必要に応じて治験の実施状況について調査し、必要な場合には、病院長に意見を文書で通知するものとする。
  3. 治験審査委員会の開催にあたっては、あらかじめ治験審査委員会事務局から原則として1週間前に文書で委員長及び各委員に通知し、審議資料を送付するものとする。
  4. 治験審査委員会は、以下の要件を満たす会議においてのみ、その意思を決定できるものとする。
    1. 少なくとも5人以上の委員からなること
    2. 少なくとも委員の1人は、自然科学以外の領域に属していること(医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有するもの以外の者が加えられていること)
    3. 少なくとも委員の1人(2)に該当するものを除く)は、医療機関及び治験の実施に係わるその他の施設とは関係を有していないこと(実施医療機関及び治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者が加えられていること)

    注)多数の委員で委員会を構成する場合には、2)及び3)の者を増員する。
  5. 採決に当たっては、審議に参加した委員のみが採決への参加を許されるものとする。
  6. 当該治験の治験依頼者と関係のある委員(治験依頼者の役員又は職員、その他の治験依頼者と密接な関係を有するもの)及び治験責任医師と関係のある委員(病院長、治験責任医師、治験分担医師又は治験協力者)は、その関与する治験について情報を提供することは許されるが、当該治験に関する事項の審議及び採決への参加はできないものとする。
  7. 委員長が特に必要と認める場合には、委員以外の特別の分野の専門家を委員会に出席させて意見を聞くことができる。
  8. 採決は出席した委員全員の合意を原則とする。
  9. 判定は次の各号のいずれかによる。
    1. 承認する
    2. 修正の上で承認する
    3. 却下する
    4. 既に承認した事項を取り消す(治験の中止又は中断を含む)
    5. 保留
  10. 治験審査委員会は、審議及び採決に参加した委員名簿(各委員の資格及び職名を含む)に関する記録及び審議記録を作成し保存するものとする。
  11. 治験審査委員会は、審議終了後速やかに病院長に、治験審査結果通知書及び治験審査委員会出席者リスト(書式5)により報告する。治験審査結果通知書及び治験審査委員会出席者リスト(書式5)には、以下の事項を記載するものとする。
    • 治験に関する委員会の決定
    • 決定の理由
    • 修正条件がある場合は、その条件
    • 治験審査委員会の名称と所在地
    • 治験審査委員会がGCPに従って組織され、活動している旨を治験審査委員会が自ら確認し保証する旨の陳述
  12. 治験審査委員会は、承認済の治験について、治験期間内の軽微な変更の場合には、迅速審査を行うことができる。迅速審査の対象か否かの判断は治験審査委員長が行う。
    ここで軽微な変更とは、変更により生ずる危険性が、被験者の日常生活における危険性又は通常行われる理学的あるいは心理学的検査における危険性より高くない変更を言う。何らかの身体的侵襲を伴う検査を伴う変更は除かれる。
    迅速審査は、治験審査委員長が行い、本条第9項に従って判定し、第11項に従って病院長に報告する。治験審査委員長は、次回の治験審査委員会で迅速審査の内容と判定を報告する。
  13. 13 病院長は本手順書、委員名簿及び作成した会議の記録の概要を適切な方法で公開する。
    その際には、公開する内容を治験依頼者に確認する。

第2章 治験審査委員会事務局

第6条治験審査委員会事務局の業務

  1. 治験審査委員会事務局は、治験審査委員長の指示により、次の業務を行うものとする。
    1. 治験審査委員会の開催準備
    2. 治験審査委員会の審議等の記録(審議及び採決に参加した委員の名簿を含む)の作成
    3. 治験審査結果報告書の作成及び病院長への提出
    4. 記録の保存
      治験審査委員会で審議の対象としたあらゆる資料、議事録(QandAを含む)、治験審査委員会が作成するその他の資料等を保存する。
    5. その他治験審査委員会に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援
  2. 治験審査委員会事務局は次の各号に示すものをホームページで公表するなど、一般の閲覧に供する。
    1. 治験審査委員会標準業務手順書
    2. 治験審査委員会委員名簿
    3. 会議の記録の概要
    4. 治験審査委員会の開催予定日
  3. 本条前項に関して変更があった場合は直ちに更新し、履歴を作成するものとする。なお、本条前項第3号の会議の記録の概要については、治験審査委員会の開催後2ヶ月以内を目処に公表するものとする。
  4. 治験審査委員会事務局は会議の記録の概要の公表の際、当該治験依頼者より知的財産権を侵害する内容が含まれていないか事前に確認したい旨の求めがあった場合には、これに応じると共に、必要に応じてマスキング等の措置を講じた上で公表する。

第3章 記録の保存

第7条記録の保存責任者

  1. 治験審査委員会における記録の保存責任者は治験審査委員会事務局長とする。
  2. 治験審査委員会において保存する文書は以下のものである。
    1. 当標準業務手順書
    2. 委員名簿(各委員の資格を含む)
    3. 委員の職業及び所属のリスト
    4. 提出された文書
    5. 会議の議事要旨(審議及び採決に参加した委員名簿を含む)
    6. 書簡等の記録
    7. その他必要と認めたもの

第8条記録の保存期間

  1. 治験審査委員会における保存すべき治験に係る文書または記録は、1)又は2)の日のうちいずれか遅い日までの間保存するものとする。ただし、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議するものとする。
    1. 当該被験薬に係る製造販売承認日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日)
    2. 治験の中止又は終了後15年が経過した日
  2. 治験審査委員会は、病院長を経由して治験依頼者より前項にいう承認取得あるいは開発中止の連絡を受けるものとする。

附 則

本手順書の改定は、治験審査委員会事務局が起案し治験審査委員会で協議の上、病院長の承認を得るものとする。

平成13年1月1日改定
平成14年4月1日改定
平成14年12月1日改定
平成17年4月1日改定
平成19年4月1日改定
平成21年4月1日改定
平成22年4月1日改定
平成22年10月1日改定
平成23年2月1日改定
平成23年12月1日改定
平成24年12月25日改定
平成25年1月11日改定
平成25年5月10日改定
平成26年4月1日改定(委員変更)

改定は治験審査委員会事務局が起案し治験審査委員会で協議の上、管理会議の審議を経て、病院長の承認を得るものとする。