循環器・高血圧センター

狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈などの心臓病に対して心臓超音波検査や心臓カテーテル検査による診断、治療、さらにリハビリ、減塩を中心とした食事指導、服薬指導などチーム医療による診療を行って、患者さん一人ひとりに適した、きめの細かい良質の医療を提供できるように努力しています。

日本に約4,300万人いると推定されている高血圧は、もっとも多い生活習慣病です。循環器・高血圧センターでは、腎動脈狭窄により起こる腎血管性高血圧や副腎腫瘍が原因で起こる原発性アルドステロン症など、二次性高血圧(治る高血圧)の診断や治療、治療抵抗性高血圧の治療など高血圧専門医としての診療を行っています。

心臓病について

心臓病は生命に直結する重大な病気です。つい先刻まで元気だった人が、急に生命を失ったりすることもある恐ろしい病気ですが、その反面、治療をすると劇的に治る病気でもあります。代表的な心臓病は、狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈などですが、当院では、適切な薬物治療はもちろん、心臓カテーテル検査、カテーテル治療(PCI)、ペースメーカー手術、不整脈に対するアブレーション治療など、急性期の心臓病の診療を積極的に行っています。
しかし、心臓病の多くは慢性疾患で、長く病気とつきあっていく覚悟も必要です。当院は2015年4月に循環器・高血圧センターを設立しました。医師のみならず看護部、薬剤部、リハビリテーション部、栄養管理部、地域医療連携室など多職種でのチーム医療を行い、回復期、慢性期、在宅における患者さんの包括的管理・サポートにも力を入れています。 また、心臓病の原因となる高血圧、糖尿病、コレステロール、メタボ、腎臓病、尿酸等の生活習慣病の診療では北九州のリーダー的存在です。

こんな症状ありませんか?

胸痛

胸が締め付けられるように痛んだり、重いもので胸が押されるように感じたりすることはありませんか?このような症状がある方は、狭心症という病気の可能性があります。狭心症とは心臓の筋肉に血液を送る血管(冠動脈)が何らかの原因で狭くなる病気です。
狭心症の原因の一つに、動脈硬化があります。動脈硬化は糖尿病や高血圧、脂質異常などの生活習慣病や、加齢、喫煙などの影響で進行します。動脈硬化による狭心症は、運動中など心臓の動きが激しくなるときに症状が出やすいのが特徴です。しかし、病状が進行すると、安静にしていても症状が出現するようになったり、痛みが長く続くようになったりします。
狭心症のもう一つの原因として、冠動脈が一時的にけいれんを起こして細くなってしまう冠攣縮性狭心症があります。おもに安静時、朝方や寝ている時、寒いときなどに出現しやすいと言われています。喫煙が大きな危険因子のひとつです。
完全に冠動脈が閉塞してしまうと心筋梗塞が起こってしまいます。このほか、重症の弁膜症や大動脈解離などでも胸痛が生じることがあり、放置すると大変危険です。上記のような症状がある際は早めにご相談ください。

動悸

動悸とは、胸がドキドキする感覚ですが、その感じ方は人によってさまざまです。胃の中から心臓をつかまれているような感じと言われる方もおられます。不安なときや興奮したときなどに病気でなくても動悸を感じることがありますが、心不全や不整脈などの心臓病が原因になっている可能性もあります。
心臓の働きが弱っている時(心不全)は、少し動くと脈が速くなって動悸を感じます。息切れ、体のむくみ、疲れやすさなどの症状も伴っていれば、心不全が強く疑われますので、早めに受診いただく必要があります。
不整脈とは、心臓が収縮するリズムが乱れてしまうことです。全て心拍数が速くなるとは限らず、極端に遅くなっている場合もあります。不整脈の中には、放っておいても問題ないものから、脳梗塞や心不全、立ちくらみや失神などを引き起こす危険なものまでさまざまな種類が存在し、正確な診断には、その不整脈が起こっている時に心電図を取る必要がありますが、24時間心電図、携帯心電計、運動負荷心電図検査などで診断できることもあります。
何か異常をお感じでしたら、お気軽にご相談ください。

むくみ・息切れ

顔や手足のむくみ、息切れが出現する原因はさまざまですが、その一つに心不全があります。なぜ心臓が悪い時に息苦しくなるかというと、心臓が悪いと肺の血流も悪くなるためです。また、心臓と腎臓(尿を作っている臓器)も密接に関わっており、心不全になると尿量が減り水分が体内に溜まりやすくなることも、全身のむくみの原因のひとつです。
水分が体に溜まると体重が増えますので、体重の変化は体のむくみを知る手がかりになります。普通の「肥満」とちがい、水分貯留による体重増加は、数日~数週などの短期間でも現れますので、急に体重が増え息切れなどの症状も伴う場合は、心不全が原因ではないかと疑う必要があります。
心不全はさまざまな疾患が原因で起こります。近年増加している高血圧や糖尿病などの生活習慣病による動脈硬化から、心臓弁膜症、不整脈、感染症、ホルモン異常、また、原因がはっきり分かっていないものもあります。むくみ、息切れ、体重増加などが気になる方は、早めにご相談ください。

血圧上昇

健康診断などのほか、最近では、ご家庭でも血圧を測っておられる方が増えていますが、血圧が高い場合は、ご自分だけで判断されずに、ぜひ医療機関にご相談いただきたいと思います。
血圧が高い場合、一時的に血圧が高くなっている場合と、本当の高血圧症の場合があります。一時的に血圧が高くなっていると思われる場合には、少し時間をおいて、痛みや不安・緊張など血圧が高くなりそうな原因がおさまった後で、もう一度、血圧を測り直してみてください。
一方、高血圧症は、繰り返し血圧を測って判定する必要があります。家庭などで測定した血圧がいつも135/85 mmHg以上の時には高血圧症の可能性があり、血圧に対する治療が必要となります。高い血圧を放置すると、将来、脳卒中や心臓病、腎臓病を起こす可能性が明らかに増えることが分かっています。高血圧症の治療の第一歩は生活習慣の見直し、次にお薬です。循環器・高血圧内科では、患者さんご自身と医療スタッフ(医師・看護師・管理栄養士・薬剤師)とが協力して、高血圧症治療を行ってまいります。どうぞお気軽にご相談ください。

治療について

ペースメーカー手術

ペースメーカーは脈拍が遅くなる不整脈・徐脈の治療法です。
意外かもしれませんが心臓は電気仕掛けで動いています。心臓の中を電気が一回流れると心臓は一回動き、一分間に心臓が60回動くと、脈拍は60となります。この心臓の中の電気の流れを司っている部位を刺激伝導系といい、発電所(電池)と電線とから構成されています。電気製品も長く使っていると、故障しやすくなりますが、同様に心臓の刺激伝導系も、老化にともない電池がなくなってきたり、電線が断線したりすることがあります。その結果極端に脈拍が少なくなったり、数秒間心臓が止まったりして、めまい、意識消失、ひいては突然死を起こしてきます。これらの病気を洞不全症候群や房室ブロックと呼びます。この場合薬では治療できません。新しい人工の電池や電線を入れる必要があります。これがペースメーカー手術です。
ではペースメーカー手術とはどのような手術でしょうか?直径5cm、厚さ8mm程度のペースメーカー本体(電池)を左胸の皮膚と筋肉の間に入れ、左鎖骨の下を走っている血管から直径3mm程度の電線を1-2本心臓の中に挿入します。手術時間は1時間から1時間30分程度で、局所麻酔で内科医が行う簡単な手術です。10-11日間の入院が必要です。

アブレーション治療

ペースメーカー手術とアブレーション治療に関して

アブレーションは脈拍が速くなる不整脈・頻脈の治療法です。頻脈を起こす不整脈は、心臓の中に不整脈を起こす回路が存在するために起こります。アブレーション治療とは、局所麻酔下にアブレーションカテーテルを股の血管から心臓に挿入し、回路の位置を同定し、回路の一部を高周波(電子レンジと同じです)で焼いて断線させ、不整脈が起こらないようにする根治性の高い治療法です。アブレーション治療の対象となる不整脈は、不整脈全体のごく一部ですが、薬物治療が困難な不整脈や自覚症状の強い不整脈が対象となります。心房租動や発作性心房性頻拍等がアブレーション治療の対象となる代表的な疾患です。

冠動脈造影検査(CAG)

(図1)ペースメーカー手術とアブレーション治療に関して

冠動脈造影検査は、狭心症の診断確定と治療方針を決定するために大変重要な検査です。この検査により、狭心症の原因となる動脈硬化による冠動脈の狭窄や閉塞の部位、程度を調べます。手首、肘、足の付け根(鼠径部)のいずれかに局所麻酔をし、カテーテルという管を動脈の中に入れ(図1)、冠動脈の入口に留置して造影剤という薬剤を流し撮影します。
必要な患者さんには冠動脈の中にエルゴメトリンという冠動脈のけいれんを誘発させる薬を流し撮影したり、冠動脈の入口と狭窄部の先の血流を測定して、その比(FFR)を算出して重症度を測ることもあります。検査時間は、通常10分程度(エルゴメトリン検査やFFRも測定しますと30分程度)です。終了後、カテーテルを挿入した動脈の圧迫止血を行います。
通常検査を行う手首や肘であれば専用の止血用バンドを装着し、翌日朝まで経過を観ます。その間、バンドを装着した部位以外は動かしてかまいません。もちろん歩行も可能です。入院期間ですが、原則2泊3日です。

経皮的冠動脈形成術(PCI)

経皮的冠動脈形成術は俗にいう風船療法のことで、冠動脈の狭窄部や閉塞部を風船で拡張し、血流を改善させる治療法です。血管内で完結する治療法ですので、冠動脈造影検査(CAG)と同等の体の負担で狭心症の治療ができます。急性心筋梗塞や不安定狭心症など、緊急を要する場合も冠動脈造影に引き続いて治療を行うことができます。
現在ではステントという金属の網目状の筒を血管の内側に留置する術式が主流です。ステントに免疫抑制薬や制癌薬などの薬剤をしみこませ再狭窄を予防する薬剤溶出性ステント(DES)の出現により、治療成績は大幅に改善し、細い血管や狭窄が長い病変などPCIを施行できる範囲も広がってきています。
手術時間は通常30分から1時間程度で、簡単な症例であれば20分程度で終了します。入院期間は手術前日から4泊5日となっています。

冠動脈造影

左冠動脈(狭窄あり)

  • 1.経皮的冠動脈形成術(PCI)前

  • 2.拡張時

  • 3.留置されたステント 

  • 4.PCI後

右冠動脈(狭窄なし)

循環器・高血圧内科はこちら