せいてつLab ~医療を知る 健康を守る~

Feature | 特集

長引く胃の不快感。それは「機能性ディスペプシア」かもしれません

2018年 12月19日 13:55

胃がもたれる、みぞおち辺りが痛むなど、胃の不快感があるのに、医療機関で検査しても原因が見当たらない…。それは「機能性ディスペプシア」かもしれません。聞き慣れない言葉ですが、ギリシャ語でディスペプシアは「消化不良」という意味です。

機能性ディスペプシアとは

主な症状は、①食後の胃もたれ➁早期飽満感(食事開始後すぐにお腹が満腹に感じる)③みぞおちの痛み④みぞおちの焼ける感じといったものです。これらの症状は、以前は「慢性胃炎」「神経性胃炎」と診断されることもありました。胃炎は胃の粘膜に炎症が起きている状態をいいますが、機能性ディスペプシアは慢性的な不調があるにも関わらず、内視鏡検査などを行っても、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどの異常が見つからないことが多い病気です。

どうして機能性ディスペプシアになるのですか?

通常、口から入った食べ物が食道を通って胃の中に入ると、胃の上部が広がり食べ物を蓄えようとします。さらに、食べ物と胃液が混じり合うことで、食べ物は消化され、ドロドロした粥状になって十二指腸へ送られます。この一連の胃の働きに障害が生じると、機能性ディスペプシアが起こると考えられています。また、胃や腸の働きに影響を及ぼす胃酸過多も原因の一つと考えられています。

どのような治療をするのですか?

機能性ディスペプシアそのものは生命に関わる病気ではありませんが、つらい症状が続くため、患者さんの生活の質が大きく低下してしまいます。
治療は胃の動きを改善させる消化促進薬や胃酸の分泌を抑える薬の服用がすすめられています。検査をしてピロリ菌感染がある場合は、除菌のための薬を服用することも推奨されています。
また、機能性ディスペプシアの患者さんは睡眠不足や食生活が乱れていることがあり、生活習慣の改善、とくに規則正しい食事、ストレスからの解放、禁煙などで改善することも多いとされています。

(製鉄記念八幡病院 消化器内科部長 中村滋郎先生に聞きました)

「Feature | 特集」最新記事