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夏場に多発する「あせも」とマスクによる肌荒れについて

2020年 6月16日 16:09

あせもにも種類があります

暑くなるとできやすくなるのがあせもです。
あせもは汗をかきやすい夏に多く、子どもに発症しやすい疾患です。大人でも高温多湿の環境であせもになることがあります。

あせもとは汗の通り道である汗管(かんかん)が詰まり、汗が汗管の外に漏れたり、細菌が繁殖するなどして
起きるかゆみや炎症の事を言い、医学的には「汗疹」(かんしん)とも呼ばれます。

あせもは、症状の違いから3種類に分けられます。

小さな白っぽい水ぶくれが出来る「水晶様汗疹」、赤い丘疹が生じ、痒みや軽い痛みを伴う「紅色汗疹」、皮膚が部分的に盛り上がって、その部分が汗をかけなくなる「深在性汗疹」の3種類です。深在性汗疹は亜熱帯地方に多く、日本ではあまり見られません。

あせもを予防するには?

あせもの治し方の基本は、汗をかきすぎないように心がけ、皮膚を清潔に保つことです。
汗をかいたら必ずすぐに拭き取るようにし、こまめにシャワーを浴びることは効果的です。
それでも症状が良くならない場合には、病院を受診することを検討しましょう。

あせもができた際、シッカロールやほかの市販薬で様子をみることは
効果的なのでしょうか。
市販薬を選ぶ際、大事なことは何かありますか? 
また、受診のタイミングについて教えてください。


シッカロールは植物のでんぷん等から作られ、皮膚を乾燥させる働きがあります。しかし、汗管を閉塞することがあり、あせもがあるときには悪化することがあるため、使用することはお勧めしません。
ドラッグ・ストアではいろいろな治療薬が販売されており、症状が軽ければ市販薬で対処する事も可能ですが、症状がよくならない場合や範囲が広く化膿した場合は、皮膚科受診した方がよいでしょう。

マスクによる肌荒れと予防

新型コロナウイルス感染予防でマスクを着用する機会が増えたため、口からあごにかけての皮膚症状に悩まされている方が増えています。
マスクの擦れにより角層が厚くなると、毛穴の入り口が詰まって皮脂が溜まり、ニキビができやすくなります。マスクの中の蒸れた状態は雑菌が繁殖しやすく、ニキビを悪化させる原因の一つとなります。
またマスクの擦れにより、角層がダメージを受けることで、角層のバリア機能が低下します。すると、通常は刺激にならない物質が表皮に入り込んで、炎症が生じ湿疹ができます。さらにマスクによる蒸れで湿疹が悪化しやすくなります。

湿疹ができた患者さんへの治療は薬対応となりますでしょうか。


マスクでの皮膚症状がある患者さんは増えてきている印象です。
皮膚症状がひどい場合はステロイドなどの外用薬対応となります。

保湿をしっかり行いましょう

マスクをつける際には保湿をしっかり行い、皮膚を保護するように心がけることで、マスクの摩擦が軽減され皮膚症状が出にくくなります。基本的に保湿剤は自分に合えば何でもよいですが、皮膚に油膜でバリアを作ってくれるのでワセリンなどはおすすめです
また、できるだけ通気性の良いマスク生地を選び、帰宅してマスクを外した際には洗顔を行い、しっかり保湿を行うことが重要です。


(社会医療法人製鉄記念八幡病院 種子島佳子(たねがしまけいこ)皮膚科医長に聞きました)

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