肝臓内科

特色

日本消化器病学会認定施設、福岡県肝疾患治療専門機関、肝臓がん検診精密検査実施医療機関に認定されています。また日本肝癌研究会施設会員です。日本肝臓学会認定専門医3名で診療を行っています。
肝臓内科で扱う疾患は、急性肝炎および慢性肝炎・肝硬変・肝がんが多く、他に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)・薬剤性肝障害・原発性胆汁性胆管炎・自己免疫性肝炎などがあります。日常診療におけるおもな疾患は、ウイルス性肝炎、肝硬変合併症(腹水・肝性脳症・食道静脈瘤)および肝がんです。徐々に減少しているとはいえ、いまだに肝がんの大部分はC型肝炎およびB型肝炎が原因であり、これらの肝炎のウイルスに対する治療は肝硬変および肝がん進展の予防につながります。
当院ではB型肝炎とC型肝炎に対する治療、肝硬変の合併症に対する治療および肝がんに対する治療経験は非常に豊富です。さらに最近では、脂肪性肝疾患などの肝炎ウイルスが原因ではない肝がんも増えており、その予防および早期診断早期治療が重要です。急性肝不全や慢性肝不全で肝移植が必要な症例では九州大学病院との連携も密に行っています。

診療担当表

 
外来 午前 大江 大穂 大江 森田 大穂
検査 午後 肝生検・RFA     肝生検・RFA  

扱う疾患

  • B型肝炎
  • C型肝炎
  • 肝硬変
  • 肝細胞がん
  • 自己免疫性肝炎
  • 原発性胆汁性胆管炎
  • 脂肪肝・脂肪肝炎
  • 食道胃静脈瘤
  • 急性肝炎
  • 急性肝不全

治療

B型慢性肝炎

B型肝炎の治療はおもに核酸アナログ製剤(ラミブジン・アデホビル・エンテカビル・テノホビル)とインターフェロン(IFN)治療です。
インターフェロン(IFN)治療の適応はおもに35歳以下ですが、35歳以上や若年者でも慢性肝炎進行例では核酸アナログ治療が適応となります。

C型慢性肝炎

C型肝炎に対しては長らくインターフェロンが治療の中心となっていましたが、2014年9月に初めてインターフェロンを用いない経口剤だけの治療が登場しました。以降も次々と新規薬剤が上市されており、現在C型肝炎は有効性と安全性の高い抗ウイルス薬の内服で治療する時代へと大きく変化しています。
最新の治療としては2017年9月に新規経口剤(グレカプレビル・ピブレンタスビル併用療法)が登場しました。genotype1とgenotype2のいずれに対しても適応があり、肝硬変に至っていない慢性肝炎であれば治療期間は8週と、従来治療の12週より更に短縮されています。また、同剤は透析を含む高度腎障害に対しても使用可能であり、より多くの患者さんが治療できるようになりました。当科ではこれまでの豊富な治療経験をもとに、各々の薬剤を特徴に応じて使い分けることで、極めて高い確率でC型肝炎ウイルスの排除を成功させています。
過去のインターフェロン治療での無効例、副作用での中止例のほか、高齢で治療を見合わせていた患者さんでも、短い治療期間と少ない副作用で高い有効性が期待でき、お勧めできる治療となっています。ただし、現時点では保険適応が慢性肝炎と代償性肝硬変に限られており、非代償性肝硬変の患者さんには使用できません。
多くの患者さんでC型肝炎ウイルスの排除が可能になった一方で、ウイルス排除後の肝がん発症が増加しています。ウイルス排除は、C型肝炎ウイルス感染の治癒ではありますが、肝疾患の治癒ではなく、発がんリスクが残ることを患者さんに説明、指導し、定期的な血液検査、画像検査を怠らないよう努めています。さらに、脂肪肝のように他の原因によりさらに発がんリスクが高まるため、生活習慣の改善にも気を付けるよう指導しています。

脂肪肝・脂肪肝炎

脂肪肝・脂肪肝炎の頻度は年々増加し、肝硬変や肝細胞がんの原因としても増加しています。当院の非B非C型肝細胞がんは新規肝細胞がんの原因の20-30%を占めますが、その多くはアルコール性や肥満、糖尿病、代謝異常などが背景の脂肪肝炎が原因と考えられます。
本疾患の治療は原因である背景病態の是正(禁酒、食事運動療法など)が重要です。その他、その病態に見合った薬物療法や瀉血(しゃけつ)療法を行っています。

自己免疫性肝炎・原発性胆汁性肝硬変

自己免疫性肝炎および原発性胆汁性肝硬変の経験は大変豊富であり、肝硬変への進行阻止の治療を適切に行っています。

肝臓がんの診断と内科的治療

超音波、CT、MRIを駆使して肝がんの診断につとめています。
治療は科学的根拠に基づく肝がん診療ガイドラインに従って行っています。内科的には経皮的ラジオ波焼灼療法および肝動脈塞栓術を積極的に行っていますが、外科手術の適応である症例では外科との連携も密に行い治療方針を決定します。局所療法の選択肢として、前掲の治療法が困難または不十分な場合は定位放射線治療も行っています。局所療法の適応がない多発肝がんや門脈浸潤進行例に対しては、抗がん剤による経カテーテル的肝動脈化学療法、持続動注化学療法や全身化学療法も積極的に行っています。

食道胃静脈瘤の内視鏡治療

食道静脈瘤破裂症例や破裂のリスクが高い症例に、食道静脈瘤硬化療法(EIS)および食道静脈瘤結紮術(EVL)を行っています。また、胃静脈瘤で内視鏡的治療が不可能な例では、放射線科医師との協力で、バルーン閉塞下経静脈性逆行性胃静脈瘤塞栓術(B-RTO)を行っています。

検査、治療に関する入院期間について

一部クリニカルパスを活用し、在院日数を短くした検査および治療を心がけています。例えば、肝生検目的の入院では入院当日の午後に肝生検を行い、翌日退院が可能です。
肝がんの治療の際、肝動脈塞栓術と経皮的ラジオ波焼灼療法を引き続き行う場合の入院期間は10~14日間、経皮的ラジオ波焼灼療法のみの治療では最短で5日間です。

検査・治療実績(2017年)

    2017
検査 肝生検 18
肝腫瘍生検 12
C型肝炎治療 ダクラタスビル/アスナプレビル 0
ソホスブビル/リバビリン 16
レジパスビル/ソホスブビル 20
B型肝炎治療 エンテカビル(併用・継続を含む) 104
ラミブジン(併用・継続を含む) 8
アデホビル(併用・継続を含む) 0
テノホビル(併用・継続を含む) 24
肝細胞癌治療 経皮的ラジオ波焼灼療法 12
肝動脈化学(塞栓)療法 99
動注ポートによる持続動注 5
分子標的薬治療(ソラフェニブ) 8
定位放射線治療 8
静脈瘤治療 内視鏡的食道静脈瘤硬化療法または結紮療法 25
バルーン閉塞下逆行性静脈塞栓術 1
肝臓病の特徴
肝臓は昔から「沈黙の臓器」と言われ、病気があってもなかなか自覚症状が現れません。これはもともと肝臓に大きな余力があるためで、正常な肝臓であれば70%ほどを手術で切り取っても大丈夫なくらい余裕があります。このため自覚症状がないまま病状が進行し、気がついたら肝硬変や肝がんへ進行していたということも起こりえます。肝硬変や肝がんへ進行しても、初期であれば自覚症状がないことも多く、黄疸や腹水など肝臓に特有の自覚症状が現れたときはかなり肝臓の働きが落ちている可能性があります。そうなる前に肝臓病をみつけて治療することが重要です。
肝臓病かどうかを調べるには?
肝臓に病気があるかどうかを調べるためのもっとも簡単な方法は、血液検査とおなかの超音波検査です。血液検査では肝硬変、肝がんの原因となるような炎症の有無、B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス感染の有無が分かります。お腹の超音波検査では肝臓が変形していないか、肝臓の中に腫瘍がないかを調べます。いずれも簡便な検査であり、健診や人間ドックにも組み込まれていることも多いです。お近くのクリニックや病院にご相談ください。
B型肝炎、C型肝炎について
日本における肝がんの70-80%はB型肝炎、C型肝炎が原因と言われています。簡単な血液検査で感染の有無が分かりますので、一度も検査を受けたことがない方は、ぜひ検査を受けてください。また、すでに感染していることが分かっている方は、B型肝炎もC型肝炎も近年さまざまな治療薬が開発され、ほとんどの患者さんに対して効果的で副作用の軽い治療が行えるようになっていますので、一度肝臓専門医を受診してください。