脳神経外科

特色

当院の特色として、脳血管内科やリハビリテーション部と強力なタッグを組んだ脳卒中センターであることがあげられます。特に重症脳梗塞に関しては科を超えて協力し、治療を行っており高い治療成績をあげています。また、脳卒中だけでなく、脳腫瘍や脊髄腫瘍、頭部外傷、三叉神経痛、顔面けいれんなど、幅広い脳神経疾患を対象としており、最新の手術支援技術を駆使することにより、脳に優しい、高レベルな医療を提供しています。画像診断技術にもとづく三次元融合画像を用いた詳細な術前評価を行い(図1、図2)患者さん一人ひとりの状態を十分に評価し、手術中にはナビゲーションシステム(図3)や蛍光脳血管撮影(図4)、電気生理学的脳機能モニタリング(図5)などの最先端の機器を用いて、最高の治療を行うように努力しています。

2015年より九州でも数少ない脳血管内治療指導医による脳血管内治療を行っています。脳血管内治療は、カテーテルを用いて脳神経疾患の治療を行うもので、対象疾患は、脳主幹動脈閉塞による重症脳梗塞、脳動脈瘤、内頚動脈狭窄症、硬膜動静脈瘻、脳動静脈奇形、腫瘍など多岐にわたります。一番の特徴としては、メスをつかわずに治療ができる点であり、重篤な方やご高齢の方でも状況によっては軽い負担で治療を行うことが可能です。また患者さんによっては、この方法以外では治療が困難な方もおられます。脳血管内治療が治療手段として加わることで、これまで手術だけでは危険性の高かった疾患の治療もより安全に行えるようになっております。

無事に手術が終わった後は、地域のリハビリテーション病院やかかりつけの先生方と連携しながら、退院後のサポートを行っています。患者さん個人個人の病状や生活環境に合わせて、幅広い選択肢を準備して、地域医療連携室のスタッフと共に、満足していただける医療を提供していくことをめざしています。

  • 図1

  • 図2

  • 図3

  • 図4

  • 図5

扱う疾患

脳血管障害

  • 脳動脈瘤(開頭脳動脈瘤頚部クリッピング術、血管内治療によるコイル塞栓術)
  • 内頚動脈狭窄症(内頚動脈血栓内膜剥離術、血管内治療による内頚動脈ステント留置術)
  • 内頚動脈閉塞症、中大脳動脈狭窄症・閉塞症(STA-MCAバイパス術)
  • もやもや病(複合血行再建術 STA-MCA-EDAMPS)
  • 脳動静脈奇形(血管内治療を併用した開頭脳動静脈奇形摘出術)
  • 急性期脳梗塞(rt-PA静注療法無効例・非適応例に対する血管内アプローチによる急性期血栓回収療法)
  • 脊髄動静脈瘻(直達あるいは血管内治療による遮断術)

腫瘍

  • 脳腫瘍(頭蓋底腫瘍、後頭蓋窩腫瘍、グリオーマに対する摘出術、血管内治療による腫瘍栄養血管塞栓術を併用することもあります)
  • 脊髄髄内腫瘍、脊髄髄外硬膜内腫瘍、脊髄硬膜外腫瘍(摘出術)

その他

  • 慢性硬膜下血腫(穿頭血腫除去術)
  • 急性硬膜外・硬膜下血腫(開頭血腫除去術)
  • 片側顔面けいれん、三叉神経痛(神経血管減圧術)
  • 正常圧水頭症(シャント術)
  • 脊椎症(後方除圧固定術)
  • 脳脊髄減少症(ブラッドパッチ)

検査

  • 脳血管撮影(3次元回転DSA)
  • MRI(3T・1.5T;3D-volume撮影 MRA、拡散テンソル ASL、VSRADなど可能)
  • CT(64列)
  • RI検査(脳血流シンチ、脳槽シンチなど)
  • 頚動脈エコー
  • 経頭蓋カラー超音波検査
  • 電気生理学的検査(SEP、MEP、神経伝導速度など)

実績

直達手術実績

  2016
 脳血管障害 25
 腫瘍 8
 外傷 36
 脊椎・脊髄 1
 その他 14
総計 84

脳血管内治療実績

  2016
 脳動脈瘤コイル塞栓  
   ステント併用 15
   ステント無し 2
 閉塞性血管障害(CASを含む)  
   頸動脈ステント 8
   急性期血行再建 16
 AVM-AVFに対する塞栓術 2
 その他 4
総計 47

こんな症状ありませんか?

めまいがする
めまいは、体の平衡を保つ機能に障害が起こると発生します。耳の奥の三半規管や耳石器、前庭神経、脳幹、脳のどの場所が原因でも起こります。また、加齢により、この経路が変性してうまく機能できなくなったり、血圧調節力が低下して低血圧になったりすることによっても起こります。さらに薬の副作用、ストレスなどさまざまな原因によっても起こるため、専門的な診断が大切です。
耳が原因で起こることが多く、メニエール病や前庭神経炎、突発性難聴、良性発作性頭位めまいが代表的で、耳鼻科で診断、治療されます。
脳が原因でめまいを起こすものには、脳卒中、椎骨脳底動脈循環不全、聴神経腫瘍などがあります。突然出現しためまいや、他の神経症状をともなうめまい、耳鼻科による治療でも軽減しないめまいの場合は、脳が原因である可能性があります。
脳が原因である場合は、命に関わることもあるため、早期に専門医による診察を受けることをお勧めします。
経験したことがないほどの頭痛。しゃべりにくい、手足が動かしにくい
頭痛は日常にありふれている病気で、頭痛の経験がない人はほとんどいないのではないでしょうか。頭痛には、慢性的で原因のない一次性の頭痛と、脳などの病気によって起こる二次性の頭痛の二通りあります。
一次性頭痛には、筋緊張性頭痛、片頭痛、群発頭痛などがあります。筋緊張性頭痛が最も多く、後頸部から側頭部にかけての締め付けられるような重苦しい頭痛が特徴で、多くは肩こりをともないます。片頭痛は、血管の拍動にともないズキンズキンとした頭痛で、多くは頭の片側に起こります。群発頭痛は、片目の奥の非常に激しい頭痛で、男性に多く見られます。
二次性頭痛は、高血圧や副鼻腔炎、虫歯などさまざまな原因でも起こりますが、最も恐ろしいのが脳に原因がある二次性頭痛です。代表的なものに、脳腫瘍やくも膜下出血による頭痛があります。今までに経験したことのない頭痛、日増しに強くなる頭痛、突然出現した頭痛や、手足が動かしにくい、しゃべりにくい、ものが二重に見える、辻褄の合わないことを言う、頻繁に嘔吐する、などの症状をともなった頭痛は、脳に原因がある二次性頭痛の可能性があります。この場合、診断の遅れが命にかかわるため、早期に適切な検査を受けることが大切です。
頭痛でお悩みの方は、一度、専門医による診察を受けることをお勧めします。
認知症のような症状がある
高齢化が進み、認知症が社会問題となっていますが、認知症にはじつは多くの種類があります。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、脊髄小脳変性症などの変性疾患による認知症は現時点では治療が難しく、薬により症状の進行をなんとか遅らせるのが精一杯です。
脳卒中や白質病変による脳血管障害性認知症も治療自体は難しく、脳卒中を予防することで発症自体を少なくすることをめざします。
代謝性疾患や精神疾患、炎症性疾患による認知症は原因となる疾患を治療することにより、認知症自体の治療が可能です。
脳神経外科が取り扱う疾患のなかにも、認知症の原因となるものがあり、手術により治療が可能です。
頭を打ってしばらくして、脳を包む硬膜と脳の間に血液が溜まって脳を圧迫する慢性硬膜下血腫が起きると、頭痛、片麻痺、認知機能障害が出現します。この場合は、頭蓋骨に5円玉ほどの穴を開けて、溜まった血液を外に出すことにより、症状が劇的に改善します。
脳脊髄液が溜まりすぎて脳室が大きくなり、脳を内側から外側へと圧迫する正常圧水頭症が起きると、歩行障害、尿失禁、認知症が出現します。脳室あるいは脊髄くも膜下腔の脳脊髄液を腹腔内に流すシャント手術により、症状の改善が得られます。
脳腫瘍も認知症を起こすことがあります。脳腫瘍は発生した場所により、麻痺や複視、視野障害などさまざまな症状を起こします。認知症だけが目立つ場合は、かなり大きな脳腫瘍のことが多く、水頭症をともなっていることもあり、比較的早期に摘出術を行わないと命にかかわることもあります。
このように、脳神経外科手術により治る認知症もあるため、あきらめずに一度検査を受けることをお勧めします。
脳神経疾患の治療は
脳神経疾患の治療は"Time is brain"といわれるように、治療が時間との勝負になる場合があります。最後に、米国ブレインアタックキャンペーンで打ち出された、"早急な医療機関の受診が必要な症状"を列挙します。以下のような症状がある場合、早急に医療機関を受診してください。
  1. 急に顔の半分、片方の手足がしびれる、動かない
  2. 突然意識がおかしくなる、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない
  3. 急に片方あるいは両方の目が見えにくくなる、視野が狭くなる
  4. 突然のめまい、力はあるのにバランスがとれず立てない、歩けない、手足がうまく動かせない
  5. 原因不明の突然の激しい頭痛

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