臨床工学部

概要

臨床工学技士(CE:Clinical Engineer)とは、医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作および保守点検を行うことを業とする医療機器を専門に扱う医療職種です。当院では現在 16名の臨床工学技士が在籍しています。病院内にて、医師・看護師や各種の医療技術者とともに、チーム医療の一員として生命維持をサポートしています。高度先進医療を支えるにあたり、これから医療機器の高度化・複雑化がますます進むと考えられます。私たち臨床工学技士は、安全性と信頼性を確保する責務を担い、患者さんに安心して治療を受けていただけるよう努めています。

基本理念

  • 医療機器の管理充実を図り、安心・安全な医療の提供を目指します

業務内容

血液浄化療法業務

当院では90名ほどの患者さんが血液透析療法を受けています。その中で臨床工学技士は、透析関連機器操作、穿刺、止血・抜針などの透析全般業務に加えVAエコーやVAIVT業務への介入も行っています。また、計画的なメンテナンスと共に徹底した水質管理を行うほか、透析通信システムを用いて安全で質の高い透析療法を目指しています。そのほかにも、地域医療支援病院として急性血液浄化療法やアフェレシス療法(白血球吸着・血漿交換・血球成分除去・胸腹水濾過再静注法など)の治療支援を行っています。

呼吸治療業務

当院には11台の人工呼吸器と8台のNPPV専用装置があり、集中治療室(ICU)や病棟にて使用しています。臨床工学技士は人工呼吸装着患者の日常点検を毎日施行し、人工呼吸器離脱に向け他職種と連携して患者ケアに取り組んでいます。 また、定期メンテナンス・オーバーホール等も着手しています。呼吸ケアサポートチーム(RST)では医師・看護師・理学療法士とともに回診を行い、患者さんの早期回復に向けサポートをしています。睡眠時無呼吸症候群の治療として行われる在宅CPAPの導入支援や導入後の調整等も行っています。

循環器関連業務

循環器関連業務は大きく分けて、心臓カテーテル業務と心臓ペースメーカ業務があります。
心臓カテーテル業務では、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)におけるIVUS(血管内超音波検査法)の専用機器の操作や清潔野での治療補助をメインに行っています。カテーテルアブレーションが始まり、人工呼吸器で鎮静時の呼吸管理も行っています。
心臓ペースメーカ業務では、ペースメーカの動作チェックを行ったり、プログラムの再調整を行ったりします。植え込み手術の際にも臨床工学技士が立ち会い、円滑な手術の支援も行っています。また、自宅から病院に自動でデータを送りペースメーカーの状態を確認することのできる遠隔モニタリングも導入しており、データ管理やチェックも行っています。
心臓が相手となる業務なので、医師・看護師・検査技師・放射線技師といった他職種と連携して安全で確実な診療を目指し日々取り組んでいます。

内視鏡業務

2013(平成25)年より内視鏡業務に介入し医師・看護師と協力して取り組んでいます。内視鏡関連機器の管理、臨床介助、洗浄消毒業務をの3本柱を主軸としています。内視鏡検査治療では直接介助をCEが行っており、機器管理では内視鏡の修理削減を目指し保守管理を徹底しています。内視鏡清浄度評価としてATP測定を開始し定期細菌培養検査もCEが主に行い内視鏡を介した感染防止、安全性確保に取り組んでいます。

ME機器中央管理業務

臨床工学技士は生命維持管理装置をはじめとする高度管理医療機器(通称:ME機器)、計1650台を管理しています。当院では輸液ポンプやシリンジポンプなどの汎用性のある医療機器を病棟・外来へ貸出・返却する中央管理システムを採用しており、それ以外の大型の機器や手術室内の清潔状態で使用する機械など各設置場所から動かせない物は毎日ラウンドして機器の管理にあたっています。このようにして、常に医療機器専門の臨床工学技士が整備・点検にあたることで安全性確保と有効性維持に貢献しています。

安全管理業務

臨床工学技士は医療機器を担う立場から医療機器安全管理委員会・リスクマネージメント部会・環境感染防止委員会・業務改善検討会・医療ガス委員会等に参加し、急性期病院としての責務にも貢献しています。また医療安全管理室と協同で医療機器安全パトロールの実施や、医師・看護師・診療技術部に対し、医療機器研修会や病棟単位の勉強会・MEニュース発行などを定期的に行っており、安全管理において重要な教育・訓練・安全情報公開にも力を入れて取り組んでいます。