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自宅でできる透析~腹膜透析について~

2025年 12月03日 14:29

腎臓病と透析

腎臓は、体の中の要らない毒素や余分な水分を尿として体の外に出してくれる、大切な臓器です。しかし、腎臓の働きが悪くなる病気(慢性腎臓病:CKD)が進んでしまうと、その働きが足りなくなり、体の中に毒素や水分がたまってしまいます。

こうなると、腎臓の代わりに毒素や水分を取り除く治療が必要になります。これを「腎代替療法(じんだいたいりょうほう)」と呼び、大きく分けて「透析」と「腎臓移植」があります。

 血液透析とは?

血液透析は病院やクリニックに通って行う透析です。通常週に3回(1回あたり5時間程度の治療)を受けます。体から取り出した血液を人工腎臓(ダイアライザー)に循環させ、毒素や水分を取り除きます。およそ1日おきに通院する必要がありますが、病院で治療を受けるという安心感があります。
 
 

腹膜透析とは?

腹膜透析は、ご自身の体の中にある「腹膜(おなかの内側を覆う膜)」を使って行う透析です。おなかの中に透析液を入れると、腹膜の細い血管を通して毒素や水分が透析液の中に移ります。一定時間経ったら、その透析液を新しいものに入れ替える、ということを繰り返します。この治療を始めるには、おなかに細い管(カテーテル)を入れる手術が必要ですが、方法を覚えたあとは自宅で透析を行うことができます。
  

腹膜透析のメリット

慢性腎臓病の治療はここ数年で大きく変化し、新薬登場など透析を予防する治療法が増えています。一方、透析を始める方の平均年齢は71歳を超え、80歳前後での導入が最も多くなりました。
その中で、日本であまり選ばれてこなかった腹膜透析が広まりつつあります。

腹膜透析は自宅で行う治療なので、患者さんやご家族のライフスタイルに合わせて行うことができます。通院の負担が少なく、ご自身の時間を作りやすいのが大きなメリットの1つです。また、緩やかに透析を行うため、体への負担が比較的少なく、残された腎臓の機能も長く保ちやすいと言われています。食事については、塩分を控える必要がありますが、カリウムの制限が厳しくないのも腹膜透析の特徴です。

自分に合った透析治療を

腹膜透析は、ほとんどの方が選択できる治療です。例えば心臓に負担をかけられない方や、おなかの手術を受けたことがある方も可能です。高齢の方にも非常に適した透析方法ですが、自宅で行う治療であることから、実際には様々なサポートが必要です。腹膜透析がもっと広がるためには、訪問看護や介護サービス、介護施設、在宅医との連携が欠かせません。
透析は腎不全となった方の命をつなぐとても大切な治療です。血液透析だけでなく、腹膜透析も、患者さんご自身の生活を大切にしながら、毎日を過ごしていくための大切な選択肢の一つです。

製鉄記念八幡病院 腎臓内科部長 大仲 正太郎
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