リハビリテーション部

概要

リハビリテーションとは?

リハビリテーション(rehabilitation)の意味は、re(再び)habilis(適した、ふさわしい状態)ation(にすること)です。
リハビリテーションとは、病気やケガによって障害を負い、心と身体の両面で望ましくない状態に陥った方に、ふさわしいと思える状態に戻るためのお手伝いをするものです。リハビリテーションは病気やケガの症状はもちろん、患者さんの生活や人生へも関わる人間的で身近な医療です。

当院のリハビリテーション部は、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)による患者さん中心の包括的なリハビリテーションを実践しています。最近では、患者さんの早期回復をめざして手術前・手術後早期からの取り組みを展開しています。また、回復期リハビリテーションとの連携や、必要に応じて退院後の生活環境整備・家屋改造・介護機器導入の検討を患者さんと一緒に行います。

基本理念

患者さんの「人間としての尊厳の回復」をめざし「QOL(生活の質)」の向上を考慮した最新・最良のリハビリテーション治療を提供いたします。

業務内容

理学療法士:PT(Physical Therapist)

病気・けがなどを受けた方に対し、おもに運動療法を用いて身体機能を改善させ、社会復帰を助ける治療です。理学療法士はそれぞれの患者さんの障害に応じた個別訓練を行い、家庭復帰・社会復帰を少しでも早く、また最大限に回復した状態で退院していただくためリハビリをすすめています。当院では身体機能の回復だけでなく、身体機能の維持および増進、未来の病気やケガを予防することも心がけて臨んでいます。体を動かす身体機能を回復することで、心の豊かさや余裕を取り戻し、社会復帰、そして未来の病気を予防しましょう。

作業療法士:OT(Occupational Therapist)

身体または、精神に障害のある方に対し、日常生活の動作やさまざまな活動に関わる生活動作訓練を行い、社会への適応能力の回復を図る治療です。患者さんそれぞれが喜びを感じられる社会復帰に向けて、さまざまな角度から援助していきます。訓練には身体面へのリハビリテーションのみでなく、食事・着替え・歩行・入浴・料理・洗濯など家庭復帰後の身近なシーンを想定した幅広い訓練を実施しています。



言語聴覚士:ST(Speech-language-hearing Therapist)

私たちは、失語症、構音障害、音声障害といったコミュニケーション障害や、嚥下障害、高次脳機能障害、末梢性顔面神経麻痺、聴覚障害(補聴器外来)などに対する様々なリハビリを行っています。その中で嚥下障害の患者さんが約7割以上を占めており、当院では耳鼻咽喉科医師、歯科医師のもと嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査を積極的に行い、飲み込みの状態を詳しく確認しながら、実際の食事場面で食べたり飲んだりする訓練を行います。“食べる”ということは生きる上で最も重要で、そこに携わり、食べる喜びを感じてもらうことが私たちのやりがいの一つとなっています。口から食べられない方でも、少しでも食べる楽しみを得られるよう、摂食・嚥下障害看護認定看護師や管理栄養士、歯科衛生士など多職種と連携して患者さん一人ひとりに応じたサポートが行えるよう心がけています。

視能訓練士:CO(Certified Orthptist)

視能訓練士とは、眼科医の指示のもと視機能検査や、斜視・弱視の検査・訓練を行う眼科専門の医療技術者です。視機能の検査には視力・眼圧・視野・色覚などさまざまなものがあり、これらの検査を各患者さんの症状に合わせて行い、的確なデータを医師に提供し治療のサポートをしています。また、矯正可能な斜視・弱視に対して、両眼視機能を回復させるために検査・訓練・治療を行ったり、病気で視力が低下した患者さんに、専門の眼鏡や補助器具を選ぶ手助けを行ったりもしています。
私たち視能訓練士は、乳幼児からお年寄りまで、皆さんの大切な目の健康を守るお手伝いをしています。

歯科衛生士:DH(Dental Hygienist)

歯科衛生士とは、歯科医師の指示のもと、歯科予防処置・歯科診療補助・歯科保健指導を行う専門職です。
当院の歯科・口腔ケア科は「周術期等口腔機能管理」に重点を置いています。主に全身麻酔手術・化学療法・放射線療法時におこるお口のトラブルや術後の合併症を予防するために、歯科衛生士はセルフケアの指導や専門的な口腔ケアを行っています。また、緩和ケア病棟をはじめ入院中にご自身での口腔衛生管理が困難な患者さんには訪室にて対応しています。

その他

リハビリテーションスタッフ

(2023年4月1日現在)

患者さんの「人間としての尊厳の回復」をめざし「QOL(生活の質)」の向上を考慮した最新・最良のリハビリテーション治療を提供いたします。

  • 専任医師:1名
  • 理学療法士:23名
  • 作業療法士:11名
  • 言語聴覚士:3名
  • 視能訓練士:2名
  • 歯科衛生士:2名
  • 助手:1名

疾患別施設基準

  • 脳血管疾患等リハビリテーション(Ⅰ)
  • 運動器リハビリテーション(Ⅰ)
  • 呼吸器リハビリテーション(Ⅰ)
  • 心大血管疾患リハビリテーション(Ⅰ)
  • がん患者リハビリテーション(Ⅰ)
  • 廃用症候群リハビリテーション(Ⅰ)

対象疾患

  • 整形外科疾患
  • 脳血管、脳神経障害
  • 循環器疾患
  • 呼吸器疾患
  • がん疾患、乳がん
  • 熱傷、切断
  • 糖尿病
  • 摂食嚥下機能障害
  • その他 運動機能障害、廃用症候群

チーム医療への参加

  • 脳卒中・神経センター
  • 呼吸サポートチーム(RST)
  • 嚥下サポートチーム(SST)
  • 整形外科リハビリテーション
  • 心臓リハビリテーション
  • がんリハビリテーション
  • 緩和ケア病棟におけるリハビリテーション
  • 乳がん治療専門チーム(マンマチーム)
  • 栄養サポートチーム(NST)
  • 熱傷患者のリハビリテーション
  • 糖尿病教育入院
  • 腎臓病教室
  • 摂食・嚥下機能に対する取り組み
  • 口腔ケア
  • 地域包括ケア病棟
  • 脳卒中地域連携パス
  • 大腿骨近位部骨折地域連携パス
  • 認知症ケアラウンド

学術活動(2022年)

学会発表

発表演題名 発表者 学会名称
急性期脳損傷者の自動車運転再開困難者における高次脳機能障害の特徴と傾向 原山 永世 第6回日本安全運転医療学会
小脳梗塞発症後に両側性の視床梗塞をきたし、多彩な認知機能障害を呈した1症例 新屋 徳明 STROKE2022
重度熱傷による両下肢下腿切断患者の自宅退院へむけてコロナ禍における家族の在宅生活に対する不安への介入 宮原 優太 九州作業療法学会2022in佐賀
超高齢心疾患患者の心臓リハビリテーションの問題を考える 島添 裕史 第28回日本心臓リハビリテーション学会学術集会
経皮的冠動脈形成術後患者の身体機能と慢性期フォローアップ時の冠動脈再狭窄または新規虚血の指摘との関係 池永 千寿子 第28回心臓リハビリテーション学術大会
重症COVID-19集中治療後の身体機能障害に対するリハビリテーションの効果 後藤 圭 第44回日本呼吸療法医学回学術集会
重度熱傷後に両下腿切断となりPTSD関連症状がみられた高齢者に対し早期から作業療法を実施した1症例 新屋 徳明 第56回日本作業療法学会
COVID-19中等症患者におけるパンフレット指導後の覚醒下腹臥位療法のFeasibility調査 田中 翔太 第8回日本呼吸理学療法学会学術大会
回復期リハビリテーション病棟における人工膝関節置換術のバリアンス分析 加納 啓輔 第10回日本運動器理学療法学会学術大会
変形性股関節症患者における人工股関節全置換術後の歩行時中殿筋表面筋電図周波数特性 野口 裕貴 第10回日本運動器理学療法学会学術大会
t-PA静注療法および脳血内治療後の急性期脳梗塞患者に対する自宅退院に関連する因子の検討 原山 永世 第20回日本神経理学療法学会学術大会
急性期市中肺炎患者を対象としたリハビリテーション状況によるHospitalization-Associated Disabilityの予測 後藤 圭 第9回サルコペニア・フレイル学会

論文、雑誌寄稿

著者 共同研究者 題名 誌(書)名 巻:頁
Yamauchi K Kumagae K
Goto K
Harayama E
Tanaka S
Hagiwara R
Uchida Y
Kuroyama S
Koyanagi Y
Arakawa S
Ambulation status at an acute care hospital predicts pneumonia and mortality in stroke patients: A retrospective cohort study Geriatrics & Gerontology International 22:554-559
原山 永世 山内 康太
熊谷 謙一
小柳 靖裕
荒川 修治
脳梗塞に対する脳血管内治療後の二相性経過を伴う遅発性白質病変の1例 The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 59巻2号
223-230頁
原山 永世 阿野菜々美
山内 康太
荒川 修治
急性期脳損傷後の自動車運転再開困難者における高次脳機能障害の特徴と傾向 日本安全運転医療学会誌 2巻1号
38-45頁
山守 健太 島添 裕史
他1名
急性心筋梗塞を発症したBecker型筋ジストロフィー患者における体重免荷トレッドミルの有効性 理学療法ジャーナル 56巻2貢
田中 翔太 山内 康太 熊谷 謙一
後藤 圭
鈴木 裕也
池永千寿子
香西 哲也
山下 真希
木村 よう子
髙野 智嗣
COVID-19中等症患者へのパンフレット指導による覚醒下腹臥位療法の実現可能性 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 in press

著書

著者 題名 発表誌名
雑誌名・著書名 巻(号)頁 出版社名
鈴木 裕也 JSPENコンセンサスブック1
がん 肺がん患者における適切な予後評価指標は?
日本臨床栄養代謝学会 編 325 医学書院

学術活動(2021年)

学会発表

発表演題名 発表者 学会名称
当院における心不全緩和ケアの現状 永田 鉄郎 第27回日本心臓リハビリテーション学会学術集会
運動療法プログラムの現状と課題:重症患者へのFITTの適応 山内 康太 第43回呼吸療法医学会
運動不耐に対する介入 島添 裕史 第69回日本心臓病学会学術集会ジョイントシンポジウム
PICS予防を目的とした高齢ICU患者に対する栄養とリハビリテーション介入の効果 後藤 圭 第47回日本集中治療医学会学術集会
入院前ADLが自立していれば年齢はICU患者の退院時ADLに関連しない 後藤 圭
急性期病院における高齢市中肺炎患者のHospitalization-Associated Disbilityの評価項目別発症率 後藤 圭 第8回日本サルコペニア・フレイル学会大会
高齢人工呼吸器患者の退院時ADLに関連する因子の検討 後藤 圭 第7回日本呼吸理学療法大会
勤労者における30分以上連続する座位行動の関連要因とその性差 池永 千寿子 第22回健康支援学会

論文、雑誌寄稿

著者 共同研究者 題名 誌(書)名 巻:頁
Yamauchi K Kumagaea K, Goto K, Hagiwaraa R, Uchida Y , Harayama E, Tanaka S, Kuroyama S, Koyanagi Y, Arakawa S. Predictive Validity of the Scale for the Assessment and Rating of Ataxia for Medium-Term Functional Status in Acute Ataxic Stroke. J Stroke Cerebrovasc Dis. 30; 105631
Yamauchi K 他2名 Concern with reproducibility of rehabilitation after critical illness and hospital discharge. Crit Care. 25: 332
Taito S Yamauchi K 他1名 Telerehabilitation in Subjects With Respiratory Disease: A Scoping Review. Respir Care. 66:686-698
田中 翔太 山内 康太
熊谷 謙一
後藤 圭
原山 永世
小柳 靖裕
荒川 修治
急性期脳卒中患者における最終転帰先予測因子-脳卒中地域連携パスを用いた単施設急性期病院における検討- 脳卒中 43巻6号
517-523
佐々木 淳一 鈴木 裕也ほか 熱傷診療ガイドライン〔改訂第3版〕 熱傷 47 Suppl