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Dr.インタビュー

石川幹真消化器病センター長に聞く 「あらゆる消化器疾患にスペシャリストが対応する」

2020年 8月31日 09:55

消化器病センターの役割について教えてください。

消化器内科、消化器外科、肝臓内科、放射線科のそれぞれの専門医師が協力して、お腹(消化器)に関するあらゆる疾患に対応します。消化器には多くの臓器があるので、症状もさまざまです。
お腹の調子が悪い、胸やけがする、肝機能が気になるなどの症状が現れたとき、「いったい、何科にかかればいいの?」と分からないこともあると思います。
そんなとき、どのような消化器疾患にも対応できる“窓口”が当センターの役割だと思います。
何か気になることがあれば、まずはかかりつけ医にご相談された上で、いつでも当センターをご利用ください。

石川先生の専門は消化器外科ですが、ズバリ当院の消化器外科の強みは
何でしょう。

当院では食道、胃、大腸がんの手術の約9割を鏡視下手術(腹腔鏡手術)で行っています。
開腹手術に比べて術後の痛みが少なく、運動能力や胃腸の回復が早いというメリットがあります。一方、体内を映し出すモニターを見ながら、医療器具をつかって手術を行うため、医師には高度な技術と豊富な経験が求められます。
当院には九州でもトップクラスの鏡視下手術の症例数を経験している医師が複数名おりますので、難易度の高い手術にも対応しています。

  
私はとくに下部消化管(主に大腸がん)、難波江消化器外科部長は上部消化管(主に胃や食道がん)の鏡視下手術をこれまでにも多く担当しています。肝切除も症例に応じて腹腔鏡手術を行い、手術経験豊富な医師が担当します。
またERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)という、内視鏡を使った胆道や膵管の造影検査・治療も当科で行っていて、その数は年間150件ほどにのぼります。胆管結石、閉塞性黄疸、胆管・膵臓の急性疾患の治療など肝胆道系の疾患にも対応しています。
消化管悪性腫瘍手術、肝・胆・膵領域の外科治療、ERCP、がん化学療法など、どのような疾患、病状にも対応できる体制で、診療に取り組んでいるところが強みといえるでしょうか。

最近、増加している消化器疾患といえば?

大腸がんですね。大腸がんは早期発見すれば治癒率が高いのですが、進行されてから来院される方が多いです。八幡地区の検診率の低さも気になります。大腸がんは40歳代から増え始め、高齢になるほど罹患率が上がりますので、年に1度は大腸がん検診を受けることをお勧めします。

石川先生は乳腺センター長も兼任しています。乳がんは今や女性の12人に1人がかかるといわれています。しこりや分泌液など自分で発見されることもあるがんですが、できれば自覚症状を感じる前に早期発見・早期治療を目指したいです。

他のがんと異なり、乳がんは30歳代後半から増加しはじめ、40歳代後半と60歳代前半にピークを迎えます。高齢になってもかかるので、いくつになっても注意が必要です。
当院の乳腺ドックは通常のマンモグラフィに加え、精度の高い画像を多方向から撮影できる3Dマンモグラフィも導入しています。年に一度はマンモグラフィ検査を行いましょう。

(3Dマンモグラフィ)

女性のシンボルである乳房切除など、乳がん患者さんにとって治療の過程には心身ともに大きなダメージを負う場合もあります。
先生が診療で、最も大切にしていることは何ですか。

乳がんに限ったことではありませんが、きちんと病状説明を行うことです。患者さんが今の自分の状態を理解して、納得して治療を一緒にスタートするように心がけています。5年生存率などのデータだけでなく、薬の副作用や治療にともなう身体的・精神的、社会的な負担などについても全てお話します。
患者さんによってがんの大きさ、悪性度、転移の有無など、症状はまったく異なります。ガイドラインに沿いつつ、その方に合った薬物、手術など治療方法を決めていきます。1人の患者さんを信頼のおける多職種の専門スタッフがサポートします。

 
石川幹真 副院長・消化器センター長・乳腺センター長に聞きました

  • 日本外科学会専門医/指導医
  • 日本消化器外科学会専門医/指導医
  • 消化器がん外科治療認定医
  • 日本乳癌学会乳腺専門医/指導医
  • 検診マンモグラフィ読影認定医(A判定)
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 乳房再建用エキスパンダー/インプラント実施医

 

 

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