Dr.インタビュー
中村宇大糖尿病センター長に聞く「糖尿病治療は正しく継続がカギ」
2020年 8月03日 15:40
2006年から2012年まで当院糖尿病内科に勤務していた中村センター長。2020年4月に8年ぶりに再着任となりました。
中村センター長:病院自体はあまり変わっていませんね(笑)。八幡東区は超高齢化が進んでいると聞いていましたが、糖尿病患者さんも高齢の方が多いですね。将来的な人口減少に伴い、現在2,000万人いるとされる糖尿病患者さんと予備軍と呼ばれる方の数は減っていく傾向にあるでしょうが、高齢患者さんの割合は増えると思います。
高齢の患者さんへの治療、指導で困難なことは?
中村センター長:糖尿病の治療はインスリンの注射や服薬、血糖値の測定や食事の管理など、自己管理で行うことがたくさんあります。認知症や独居の方など、どのようにサポートしていくかは大きな課題ですが、糖尿病センターチームの総力をあげて取り組んでいます。
(左から)井元博文糖尿病内科部長、海津梓奈子医師、高野瑛子医師、中村宇大糖尿病内科主任部長
糖尿病は「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」の三大合併症をはじめ、心臓疾患、認知症などの合併症を引き起こすことが知られています。
中村センター長:糖尿病は自然に良くなる病気ではありません、放置すれば悪化していく病気です。診断された時点で、正しい治療を継続して行うことが大事です。合併症は途中で治療を中断してしまう方に多くみられます。とくに働き盛りの年代は仕事優先になってしまい、治療を中断しがちです。あきらめずに治療を継続していれば、きっと良いことがあると思って、がんばりましょう。
糖尿病は多くの内科で治療を受けることができます。その中で当院の役割は?
中村センター長:当院には私と井元糖尿病内科部長の2名が日本糖尿病学会指導医の資格を取得しています。糖尿病に特化し、より専門的に治療にあたるのが「専門医」で、その医師を指導し専門医に育てる役割を担うのが「指導医」です。この「強み」を生かして、他の持病を併発している患者さんや血糖コントロールがうまくいかない患者さんへ正しい薬剤の選択をはじめ、教育入院などにも力を入れています。
当院の教育入院について
中村センター長:糖尿病の正確な知識、食事療法や運動療法を身につけ、患者さんが病気との付き合い方を学ぶ機会の提供になります。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、管理栄養士などがワンチームで講義や指導などを行い、患者さんに適した治療法を一緒に考えていきます。糖尿病と診断された方は病気への理解を深めて、正しく自己管理できるように一度受けられることをおすすめします。当院は月曜日~翌週金曜日までの12日間の期間で、教育入院を行っています。
患者さんへのメッセージをお願いします
中村センター長:当院は今年、診療開始から120年を迎えますが、糖尿病の療養指導に力を入れてきた病院です。当センターが北九州における糖尿病治療の要となれるように、スタッフ一同力を合わせてがんばりたいと思います。
中村宇大(なかむら うだい)糖尿病センター長
【専門分野】糖尿病、代謝異常症
【資格】日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医・指導医・学術評議員