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「治る可能性がある認知症」といわれる病気~正常圧水頭症~
2025年 7月11日 11:19

正常圧水頭症のサインは
「歩きずらくなった・物忘れが増えた・トイレに間に合わないことが増えた」といったご自身や
ご家族の変化を感じていませんか?
もしかすると、それは正常圧水頭症のサインかもしれません。
この病気は、「治る可能性がある認知症」として知られ、適切な治療を受けることで改善することがあります。
65歳以上の50人に1人がかかっているとも言われていて、早期発見して、適切な治療を受けることが大切です。
正常圧水頭症とは?
脳と脊髄を循環する脳脊髄液が何らかの原因でうまく排出されず、脳室に溜まることで脳が圧迫される病気です。主な症状は次の3つです。
1.歩行障害
- 足がもつれたり、歩幅がせまくなる
- 体のバランスを崩しやすくなり、転倒のリスクが高まる
2. 認知機能の低下
- 「約束を忘れる」「何をしようとしていたか分からなくなる」といった症状が見られる
ボーっとしている時間が長い
3. 尿失禁
- 頻尿
- トイレに間に合わない
検査方法は?
主な検査はMRIやCT検査です。
さらに詳しい検査を行う際は入院が必要です(当院では最短で2泊3日)。
脳脊髄液排除試験といって、腰椎の間から過剰に溜まっている脳脊髄液を少量排除して、その前後の歩行機能や認知機能を検査して、確定診断を行います。
治療は?
主な治療方法は「シャント手術」です。脳内に溜まった余分な髄液を体内(お腹など)に流す
管(シャント)を設置することで、症状の改善が期待できます。手術は全身麻酔で1~2時間程度になります。入院期間は約10日間です。
年齢のせいにしないで
歩きづらさや物忘れが気になったら、「歳だから仕方ない」と思わずに、早めに神経内科や脳神経外科を受診し、専門医に相談しましょう。
製鉄記念八幡病院 脳神経外科部長 佐山 徹郎が監修しました