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頭をぶつけた後に起こりやすい「慢性硬膜下血腫」

2026年 1月28日 10:53

認知症に似た症状の正体…。慢性硬膜下血腫とは

慢性硬膜下血腫とは

慢性硬膜下血腫とは、脳を包む硬膜(こうまく)と脳の間に、時間をかけてゆっくりと血液がたまる病気です。多くは軽い頭の打撲がきっかけですが、ぶつけた記憶がない場合も少なくありません。特に高齢の方に多くみられます。

なぜ起こるの?

加齢により脳が少し縮むと、硬膜との間にすき間ができ、細い血管が切れやすくなります。そこから少量の出血が続き、血腫が徐々に大きくなります。

抗血小板薬や抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している方では、発症や再発のリスクが高くなります。

 主な症状

症状は数週間から数か月かけて徐々に進行します。

・頭痛

・歩行時のふらつき、転びやすさ

・手足の力が入りにくい

・物忘れ、反応が鈍くなる

・言葉が出にくい

・意識がぼんやりする

脳梗塞や認知症と似た症状を示すことがあり、注意が必要です。

検査・診断

頭部CTやMRI検査で診断します。血腫の大きさや位置を正確に確認でき、短時間で行える検査です。

治療について

基本的な治療は手術です。最も一般的なのは「穿頭血腫洗浄術」で、頭に小さな穴をあけ、たまった血液を洗い流します。局所麻酔で行えることが多く、体への負担が比較的少ない手術です。手術時間は1時間程度で、入院期間は約10日間です。

再発について

慢性硬膜下血腫は、手術後に再発することがあります。再発率はおよそ10~20%とされており、特に高齢の方や、血液をサラサラにする薬を服用している方では注意が必要です。

再発予防としての中硬膜動脈塞栓術

近年、再発予防として「中硬膜動脈塞栓術」というカテーテル治療があります。太ももや手首の血管からカテーテルを入れ、血腫の原因となる血管を詰めることで、再発を防ぐ効果が期待されます。適応については主治医と相談が必要です。

まとめ

慢性硬膜下血腫は、早期に発見し適切に治療すれば予後の良い病気です。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

製鉄記念八幡病院 脳神経外科 佐藤 航平
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