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3月第2木曜日は「世界腎臓デー」。日本では1,330万人の慢性腎臓病患者がいます
2019年 3月12日 10:00
慢性腎臓病(CKD)患者は日本で1,330万人
慢性腎臓病(CKD)は馴染みのある病名ではないため、少ないと思われがちですが、日本では1,330万人、8人に1人がCKD患者で、新たな国民病と考えられています。
①蛋白尿や血尿などの検尿異常・腎臓の形の異常・腎組織の異常あるいは②腎機能低下が3カ月以上続いたときにCKDと診断されます。
CKDの恐ろしい点は
気が付かないうちに進行することです。腎機能が10~15%を切るまでは症状が出ず、腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれています。
しかし進行すると夜間尿が増え、貧血、倦怠感、むくみ、息切れ、食欲不振といった症状が現れはじめます。5~8%まで腎機能が落ちてしまうと、腎代替療法(透析や腎移植)が生きるために必要となります。
症状が出てからでは遅く、検尿異常が出始めた時期、腎機能低下がない時期に、治療を行うことで完治も可能で、透析も回避することができます。
また、CKD患者さんは脳梗塞や心筋梗塞などの心血管合併症を3倍以上起こしやすくなることが分かっていますが、腎臓を治療すると、これらの心血管病も減少します。
腎臓病は完治する時代に。異常を早く検知して
古い本には、「腎臓病は不治の病」と書かれていますが、CKDの治療法は進歩しています。腎炎の中で最も多いIgA腎症は8~9割が完治する時代となり、透析に至る患者さんは激減しました。
また、透析導入の原因の5割以上を占める糖尿病性腎症も糖尿病薬の進歩により、血糖コントロールが行いやすくなり、少なくとも蛋白尿が出始めたころに、しっかり治療を行うことで透析患者の増加は足踏みとなっています。さらに現在は続々と腎臓病治療薬は開発され、さまざまな腎臓病の治療ができる時代となっています。
腎臓は再生能力に乏しい臓器です。蛋白尿が出た、腎機能が低下してきた時に的確な診断、治療を行うことが重要です。
少なくとも年に1度は健康診断を行い、異常があれば腎臓専門医を受診しましょう。
(製鉄記念八幡病院 柳田 太平 腎センター長・腎臓内科部長に聞きました)