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見た目はスリム。でも要注意「隠れ脂肪肝」
2019年 9月03日 10:40
脂肪肝とは
肝臓に脂肪が多く貯まった状態のことをいいます。食事でのエネルギーの取り込みが多く、運動
などでの消費が少ない場合、余ったエネルギーは中性脂肪として肝臓に蓄積され、脂肪肝となります。
実は肥満の人だけでなく、標準体重の人も、血液検査で肝臓に関する項目(AST、ALT)が正常の人も、腹部超音波(エコー)検査で脂肪肝が判明することは珍しくありません。
「隠れ脂肪肝」「やせの脂肪肝」という言葉は、そういった誤解を解く警鐘として使用されることがあります。
やせ型&飲酒習慣がなくても危ない
肥満気味の人や多量の飲酒を続けている人は、やせ型でも脂肪肝がみられます。一方で、若い頃と同じ体重を維持できていて、飲酒習慣がない人にも脂肪肝がないとはいえません。運動不足で筋肉が減少した分、脂肪が増加していたり、過度な食事制限によるダイエットが蛋白質不足を起こし、脂肪肝を悪化させることもあります。
診断は?
まずは腹部超音波(エコー)検査を行います。
さらに肝臓の炎症や線維化などを調べるためには、血液検査やCT、MRI、肝生検を追加することがあります。
放っておくとどうなりますか?
脂肪肝は糖尿病や高血圧症、脂質異常症など、全身に影響を及ぼすさまざまな疾患と関連しているため、放置はよくありません。一般的に、多量の飲酒が肝硬変の原因となることは知られていますが、飲酒習慣のない脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)の一部も、放置すると肝硬変や肝がんに進行する場合があります。
脂肪肝には自覚症状がありません
脂肪肝には自覚症状がないため、健診やかかりつけ医での定期的な血液検査と腹部超音波検査での経過観察が必要です。今のところ、脂肪肝を治す特効薬はありませんが、飲酒制限や食事・運動療法で生活習慣を改善し、肝臓に貯まった脂肪を少しずつ減らすことが治療の原則となります。
(製鉄記念八幡病院 大穂有恒 肝臓内科部長に聞きました)