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腰椎、下肢の痛み、しびれの原因となる腰椎椎間板ヘルニア

2020年 10月09日 10:22

よく「ヘルニア持ち」と聞きます。ヘルニアとは「飛び出る」という意味です。今回は悩みを抱える方が多い腰椎椎間板ヘルニアの話です。

腰椎椎間板ヘルニアとは?

背骨は24個の椎骨が積み重なってできています。椎骨の間でクッションの役目をするのが椎間板です。椎間板は繊維輪と髄核でできていますが、その一部が加齢などで変性して、飛び出した部分が「椎間板ヘルニア」です。

原因は?

年齢とともに髄核内の水分が減少し、椎間板が変性しやすくなり、ヘルニアを生じやすくします。また、悪い姿勢での動作や作業、喫煙などで起こりやすくなることも知られています。
近年では心理的・社会的因子(仕事による精神的ストレス、抑うつ、不安等)が深く関与していることも指摘されています。

治療は?

自然軽快することが多いので、安静を心がけ、痛みが強いときは消炎鎮痛剤などを投与する「保存的加療」が第一選択となります。ブロック注射やコルセット着用も痛みを和らげる作用が期待できます。ただし、下肢麻痺や膀胱直腸障害が出現した場合や保存的加療での改善が乏しい場合は手術が必要になることがあります。

新しい治療法「ヘルニコア」について

ヘルニコアは酵素を含んだ注射薬を直接、椎間板に注射し、髄核の水分を分解し、ヘルニアが神経を圧迫するのを弱めます。保存的加療と手術の中間的な治療で、日本脊椎脊髄病学会と日本脊髄外科学会が認定した施設で使用可能です。当院でも治療可能ですが、使用適応かなどは受診の上、ご相談ください。

予防できますか?

①運動、②体重コントロール、③正しい姿勢がキーワードです。適正体重を保ち、筋肉をつけ、椎間板への負担を減らしましょう。ウォーキング、ジョギング、スイミング、コアトレーニング等がお勧めです。栄養バランスを考えた食事、また普段の姿勢も猫背にならないようにしましょう。

(整形外科主任医長 平田 正伸先生に聞きました)

 

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