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花粉症シーズン到来。オミクロン株と症状類似で注意することは?
2022年 2月21日 09:59
アレルギー性鼻炎(花粉症)とは?
アレルギーとは、特定の抗原(アレルギー物質)に対して過剰に免疫反応を起こした状態をいい、鼻腔内でこの反応が起こるとアレルギー性鼻炎となります。鼻過敏症や鼻アレルギーなどとも呼ばれます。アレルギー性鼻炎は通年性と季節性に分けられ、季節性のうち花粉などの抗原に対して反応を起こすものを花粉症といいます。
アレルギー性鼻炎のしくみは?
体内に侵入した抗原が異物と判断されると、抗原を攻撃するように抗原特異的IgE抗体が産生され(感作)、この抗体が免疫細胞の中の肥満細胞などに結合し、再度、体内に抗原が侵入した際に、ヒスタミンなどの炎症性物質が遊離され、鼻炎症状が出現します。
いったん発症すると、少量の抗原が体内に侵入しただけでも、症状が出やすくなります。
抗原を排出しようと、水様性鼻汁やくしゃみを生じ、反応の過程で粘膜が腫脹し、鼻づまりをきたします。
花粉症の中には、果物で口腔内のアレルギーを誘発するものがあり、シラカンバ花粉症ではリンゴやモモなどのバラ科の果物で、口の中の痒みや腫れが出ることがあります。花粉症を増悪させる要因としては、空気中の汚染物質の存在、喫煙、ストレスの影響、食生活の欧米化などが考えられています。
アレルギー性鼻炎の検査
診断はアレルギー性の判定と、抗原が何であるかを調べる検査に分かれます。
前者は問診、鼻鏡検査(鼻の中を観察)、鼻汁の細胞検査があり、後者には血液検査や鼻誘発試験(抗原を鼻の粘膜に接触させ反応を観察する)があります。
生活の工夫で症状を軽減!
アレルギー性鼻炎の治療は、抗原回避、薬物療法、手術療法、免疫療法に分けられます。
抗原を回避するために部屋の清掃、空気清浄機の使用、外出時のマスク・眼鏡の使用、室内への花粉の持ち込み予防(外出から帰宅した際に服・鞄などをよく払う、窓や戸を閉める)、花粉情報への注意が重要です。
症状が出始める1~2週間前から薬物療法を
花粉症については初期治療が大切になってきます。
症状が出現する(予想される飛散開始日の1~2週間)前より薬物療法を始めることで、症状出現後に薬物療法を始めた場合より治療効果が期待できます。
薬物療法は、内服薬と点鼻薬を組み合わせて行います。内服薬は眠気を来すことがあり、効果との兼ね合いで薬剤選択を行います。
薬以外の治療方法
薬物療法で効果が不十分な場合は、手術を検討します。
レーザー治療、後鼻神経切断術、下鼻甲介手術や鼻中隔矯正術など症状に応じて選択します。
免疫療法は長期寛解が期待できる唯一の根治療法で、以前は注射で行われていましたが、最近は舌下錠(口の中で溶かして吸収させる)の使用が普及してきています。
オミクロン株と花粉症は症状が似ている!
最後に、新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株が猛威を振るう中、みなしでの診断が行われるようになり、ますます注意が必要となってきます。オミクロン株感染の初期症状として、鼻汁、くしゃみ、頭痛、倦怠感、のどの痛みなどの風邪症状が多く、発熱や嗅覚障害の頻度は従来型よりも低くなっていると報告されています。
鼻汁、くしゃみ、鼻づまり、嗅覚障害、倦怠感といった症状は花粉症と共通の症状のため、花粉症があるとオミクロン株への感染がわかりにくくなってしまいます。花粉症にコロナウイルス感染が加わっていると、くしゃみや目・鼻をこする行為で周りの人々に感染させてしまう恐れがあり、
耳鼻咽喉科でご相談の上、しっかりと治療を受けましょう。
(文:製鉄記念八幡病院 耳鼻咽喉科部長 梅野好啓)