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男性特有の病気、前立腺肥大症について

2022年 3月25日 10:58

前立腺とは?

前立腺は尿道を取り巻くように、膀胱の出口に存在する男性特有の臓器です。働きについては実はよくわかっていませんが、前立腺液を分泌し、精子を保護したり、精子に栄養を与える役割を果たしていると考えられています。

50歳代から増える病気です

前立腺肥大症とは、前立腺が肥大することにより尿道が圧迫されて、排尿障害をきたす病気です。最も多い症状は、尿が出にくいなどの排尿に関連した症状です。それ以外にも尿が貯めにくくなってトイレが近くなったり、間に合わずに漏れてしまったりなど、いろいろな症状が出る場合があります。
50歳頃から加齢とともに増加し、50歳代では20~30%、80歳以上になると80~90%が前立腺肥大症になるといわれています。

どんな治療になるの?

前立腺が肥大していても、症状がなければ治療の必要はありません。症状がある場合は、まず薬物療法を行います。前立腺や尿道の筋肉の緊張を和らげて、尿を出やすくする「α1遮断薬」「PDE5阻害薬」などが多く使われます。これらは即効性があり、通常は飲み始めて1週間以内から効果が出てきます。

そのほか、即効性はないものの男性ホルモンの作用をおさえて、肥大した前立腺を徐々に小さくする作用がある「5α還元酵素阻害薬」など、いくつかの薬剤を併用して治療を行う場合もあります。これらの薬物治療を行っているにもかかわらず、症状の改善が十分でなかったり、尿が全く出なくなってしまう尿閉を繰り返すような場合は、手術をおすすめする場合があります。

手術は?

手術はお腹を切らずに尿道から内視鏡を挿入して、肥大した前立腺を高周波電流で切除する「経尿道的前立腺切除術(TURP)」が標準的な手術法ですが、最近ではレーザーを用いた、より低侵襲な治療も普及しつつあります。
排尿トラブルは日常生活に支障をきたすこともあり、適切な治療が必要です。ご相談はお早めに。
(文:製鉄記念八幡病院  泌尿器科主任医長 尾畑 紘史)

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