せいてつLab ~医療を知る 健康を守る~

Feature | 特集

検尿で何がわかる? 検尿は腎臓病発見の窓口!

2022年 8月18日 11:53

腎臓は沈黙の臓器

「肝腎要(かんじんかなめ)」という言葉があります。これは肝臓や腎臓(心臓)が、人体にとってきわめて重要な部位であることから、「特に大切なこと」の意味で使われます。
腎臓は人体にとって非常に重要な臓器なのですが、「沈黙の臓器」とも言われ、機能が10~20%程度まで低下しても症状が出にくく、気づいたときには治療の選択肢がほとんどないまま透析に至ることもしばしばあります。

腎機能が60%以下(eGFR 60ml/min/1.73m2以下)あるいは検尿異常(尿蛋白、尿潜血)などが3ヶ月以上持続すると慢性腎臓病と診断され、精査や治療を早期から行うことを推奨するものです。

特に大事なのはたんぱく尿

検尿異常は腎機能が低下する前から出現することが多く、特に尿たんぱくは多く出ているほど、将来、腎機能が低下し透析が必要となる可能性が高くなります。
尿たんぱくが多くなればなるほど、腎機能(eGFR )が低下すればするほど、死亡や心血管病死(脳卒中や虚血性心疾患などによる死亡)が増加することも知られています。

8人に1人が慢性腎臓病

慢性腎臓病は糖尿病や高血圧と同様に「新たな国民病」とも呼ばれ、8人に1人という多くの日本人が罹患しています。特に高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満症などの生活習慣病のある方、高齢者は要注意です。

早期発見のカギは、やはり健康診断

自覚症状が無いため、残念ながら検尿検査をしない限り、尿の異常は分かりません。
大量に尿たんぱくがでると、尿が泡立ったり、足が腫れたりしますが、それはすでに入院が必要な状態です。腎臓はいったん腎機能が低下すると回復は非常に難しく、治療手段も限られてきます。検尿による早期発見は腎臓病を治療する上で、最大にして最良の方法なのです。

早期であれば完治も可能

近年、次々と腎臓病の治療薬が開発され、治療法も進歩しています。早期であれば完治も望める時代になっています。早期発見のために毎年、健康診断を受け検尿を行い、尿たんぱくと尿潜血が+以上、あるいは尿蛋白のみが2+以上あれば、かかりつけ医にご相談いただき、少なくとも1度は腎臓専門医への受診をしましょう。

(腎臓内科部長 柳田 太平先生に聞きました)
製鉄記念八幡病院 腎臓内科はコチラ

「Feature | 特集」最新記事