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男性ナースノート

男性ナースノート③~救急の患者さん、ご家族に対して大切にしていること~

2024年 4月03日 17:35

新年度が始まりました。私は新しい人たちと出会えることが楽しみでワクワクしています。
いろいろな出会いが今の自分を創っているので、出会いの縁は大切にしたいと思っています。
救急外来で働いていると、多くの人と出会います。患者さんはもちろんですが、患者さんのご家族もそうです。
急性症状をきたす患者さんを目の当たりにして、ご家族は大きなストレスを抱きます。
そのような場面で、私が用いている考え方の一つを紹介させていただきます。

<アギュララとメズィックの危機モデル>

これはストレスの多い出来事に出会った時に問題解決過程に焦点を当て、均衡を回復させる働きをするバランス保持要因があるかどうかで「危機」および「危機回避」に至るという一連の段階を図式化したものです。

簡単に言うと…。

出来事の知覚:ストレスの多いことに対する知覚(認識)

社会的支持:頼れる、支持してくれる人の存在

対処機制:ストレスコーピング(日々、習慣的に行うストレスを和らげる方法)

これを元に、何が起こったかよく把握できていないご家族にもわかるように説明したり、一人で抱え込んでしまう人には他の家族を呼んだり、看護師を寄り添わせたりなど対応します。
こうすることが、適切な治療の選択や意思決定を助けたり、患者さんやご家族の安心につながります。正解は一つではありませんが、患者さんやご家族を理解しようとする姿勢が大切だと私は思います。

【今回のなるほど】

前回、第一印象のことをお話しさせていただきました。簡単にできる内容ですので、活用していただければ幸いです。トリアージの順番でいうと「第一印象」の次に一時評価で「バイタルサイン」を測定し、それをアセスメントします。バイタルサインの正常値はおそらくご存知の方が多いのではないでしょうか。

SpO2が96%は正常ですか? おそらくこの値だけをみると正常ですが、それは本当でしょうか?

もし、呼吸回数が30回/分であった場合、この患者さんの呼吸状態は正常でしょうか?
(呼吸の話をする際に呼吸のメカニズムである呼吸器システム(コントロール系・駆動系・ガス交換系)を理解する必要がありますが、長くなるのでここでは省略します)。
体に異変が起こった際、体の「酸塩基平衡」が酸性へ傾き、それを代償するために呼吸数が増えます。少し大袈裟かもしれませんが、急変する前には呼吸回数が増えるということです。

なので、呼吸数の観察は大切!記録に残しましょう!ということです。

少し長くなりましたが、新年度も皆様が元気で充実した日々を過ごせることを祈っています。また、次回の更新まで元気で乗り切りましょう!


製鉄記念八幡病院 救急看護認定看護師 龍田 幹政

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