Feature | 特集
寒い日の入浴にご注意ください。「ヒートショック」を起こす可能性が!
2017年 1月12日 15:19
寒い季節は温かいお風呂が恋しくなりますよね。でも、ちょっと待ってください。油断していると冬のお風呂には危険がいっぱいです。近年、高齢者人口の増加に伴い、家庭の浴槽での溺死事故が増えています。日本の高齢者の溺死率は欧米の10倍以上で、湯船につかる日本式の入浴方法と関係があると考えられています。入浴中の事故死は冬に多く、12月から2月に全体の半数が集中しています。
(循環器・高血圧内科部長 藤島 慎一郎医師)
冬の入浴にはどんな危険が潜んでいるのでしょうか?
気温が低い中で服を脱ぐと、寒さで血管が縮んで血圧が上がります。次にお湯に浸かって温まると、今度は血管が広がって血圧が下がります。(最近の雑誌などの記事では、この変化のことを「ヒートショック」と呼ぶこともあるようです)。ある報告によると、このような血圧の上り下がりの幅は、健康な若い人での実験でも50mmHgもあり、高齢者ではさらに大きいことが予想されます。血圧が急に上がると脳内出血や心筋梗塞などが起こる危険があります。血圧が下がると、頭がぼんやりしたり気を失ったりする可能性があり、湯船でおぼれたり、立ち上がる時に転んだりする事故につながります。アンケート調査などによると、お風呂での事故は後者の「血圧が下がる」ケースの方が多いようです。
急激な温度変化にご注意を
冬にお風呂に入る時に注意しなければならないのは「温度の急激な変化を避ける」ということです。脱衣所には暖房をいれて暖かくし、お湯の温度は熱くしすぎないようにして、体が温まりすぎないようにすることが大切です。
「体の芯まで温まりたい」などと思っていると、特に高齢者には大変な危険が伴うことになります。食後すぐや、お酒を飲んだ後は血圧がより下がりやすいので、入浴を避けたほうがよいでしょう。また、同居者がいらっしゃる場合は、お風呂に入る前にひと声かけて気をつけてもらってください。正しい注意をしながら、冬のお風呂を安全に楽しみましょう。