学術活動

第326回日本内科学会九州地方会「初期研修医奨励賞」を受賞して

脳血管・神経内科ローテート中に学んだ「バリズムを契機に脳梗塞の診断に至った一例」という症例報告で、研修医奨励賞をいただけたことを大変嬉しく思います。

本症例では、運動の微細な調節に関わる視床下核に生じた脳梗塞により、バリズムという不随意運動が生じ、主にこれに対する治療を開始しました。しかし長期にわたる不随意運動の持続によりエネルギー消耗が激しく、体重は著しく減少し、治療薬である抗精神病薬の副作用である抑うつ症状や、食欲不振により廃用が進んでいきました。本症例では特に、廃用症状に対しての栄養管理やリハビリが重要な意味を果たしており、メディカルスタッフの方々の鋭い観察に基づいた助言は必要不可欠で、チーム医療の大切さも実感することができました。

今回初めての学会発表で、正直なところ当日までエントリーしたことを毎日のように後悔しながら練習を重ねました。しかし、当日の発表を終えてみると、じわじわと達成感と満足感で一杯になりました。また、人前での発表が苦手な自分にとって、今回の経験は大きな自信につながったように思います。

初期研修が始まり、間もなく担当になった本症例の患者さんの病態や、心配されるご家族の表情に、医師に託された責任の大きさを実感しました。自分が主治医になった時のことを考えると、まだ不安な気持ちはぬぐえませんが、この2年間で指導してくださる先生方に少しでも近づけるよう、日々精進しようと思います。

金田 結乃