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乳児・小児・高齢者の「やけど」。家の中での多発に注意を

2018年 10月01日 13:43

「やけど」の語源は

「焼けた所」→「やけどころ」→「やけど」からきている俗名です。
医学専門用語として「熱傷」とよばれ、熱による皮膚や粘膜の外傷を言います。
皮膚障害の程度は、接触する熱源の温度と接触時間によって決まります。非常に高温のものであれば、短時間の接触でもやけどになる一方で、44℃~50℃程度の低温のものでも長時間接触しているとやけどになり、これを「低温熱傷」と呼んでいます。

ときに命に関わることも。
やけどを負ったら早めに医療機関の受診を

深い広範囲のやけどを負った重症の場合には、全身状態が悪化して命に関わることがありますので、熱傷専門施設での治療が必要となります。
重症でなくても、適切な治療が行われない場合には、キズに細菌が繁殖するなどして、治るのが
遅くなると後遺症(キズあとのひきつれや盛り上がりなど)を残すこともあります。
安易に自己流のラップ療法などをせずに、やけどをした場合にはできるだけ早期に、医療機関を
受診することをおすすめします。

乳幼児・学童期・青壮年期…。やけどの発生状況で多いものは?

生活・社会・職場環境の改善により、その発生数は以前に比べ減少しているとはいえ、未だ
一定頻度で突発的に発生しています。
まず、乳児・小児では、大多数が家庭内で発生します。原因は高温液体(ポットの湯、熱い飲み物、カップ麺)が主な原因です。
以前多かった、沸かし風呂への転落熱傷は住宅設備の改善で明らかに減少しています。
それ以外では、加熱固体(アイロン、ホットプレート)にも注意が必要です。保護者の注意で防げる場合がほとんどです。

学童期ではその頻度は多くはありませんが、花火、BBQの際のやけどが夏に多数発生します。ガスバーナーによる着火には特に注意が必要です。
青壮年期は職業関連および、自傷行為によるものが原因の上位を占めます。

高齢者は「火」の使用が原因のやけどが多発

高齢者では家庭内での発生が多く、調理中もしくは仏壇ろうそくによる着衣着火が高頻度にみられます。
そのほか、ストーブにつまずく、寝たばこを原因とした火災などがみられ、身体機能低下に伴い、高齢者家庭内での「火」の使用のリスクを痛感します。
湯たんぽや電気あんか、電気毛布、使い捨てカイロなどによる「低温熱傷」の発生リスクもあります。
これから寒い時期に入ります。どうぞ、「火」の使用にはくれぐれもお気を付けください。


製鉄記念八幡病院 救急・集中治療部長 海塚安郎医師に聞きました

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