せいてつLab ~医療を知る 健康を守る~

Feature | 特集

300人に1人? 意外に多い皮膚の病気「乾癬(かんせん)」

2019年 4月10日 09:16

Q.乾癬はどういった病気ですか?
皮膚に慢性の炎症が生じる病気で、日本では約300人に1人が罹患していると推定されています。
赤い発疹(紅斑)が頭皮の生え際やひじ、ひざなどの擦れやすい部分に出ます。
白い細かいかさぶた鱗屑(りんせつ)()が表面にあることが特徴で、頭皮では「フケ症」という形で現れます。爪の症状として変形が出ることもあります。

 (乾癬の患部)

Q.300人に1人とは多いですね。かゆみなどはあるのですか?
かゆみを訴える方もいれば、そうでない方もいます。
乾癬は伝染する病気ではありませんが、「感染」と同じ読みであること、ヒゼンダニによる感染症の「疥癬(かいせん)」と似た名前であることなどで、偏見や誤解が生じ、辛い思いをされている患者さんは少なくありません。

Q.何が原因なのですか?
世界中でいろいろな研究が進んでいますが、残念ながら正確な原因は解明されていません。
遺伝的な体質と食生活、外傷、薬剤(降圧薬の一部)などの外的因子が影響していると考えられています。

Q.どのような治療になりますか?
根本的な方法はありませんが、症状のない状態を目指し、状況に応じて①外用療法、②光線(紫外線)療法、③内服療法、④注射療法(生物学的製剤)の中から選択します。生物学的製剤は、日本皮膚科学会が承認した施設でのみ始めることができます。
まずは直接、皮膚にくすりを塗る外用療法を選択し、効果が不十分な時に光線療法、内服療法、注射療法を検討することが多いです。積極的な治療により、ほとんど症状がない状態にまでコントロールすることも可能になっています。
副作用のチェックのため、定期的な採血が必要なことや治療費が高額になるなどの問題があります。病院での治療に加え、食生活の見直しや減量、禁煙などライフスタイルの改善が重要と言われています。
(製鉄記念八幡病院 栗原雄一皮膚科医長に聞きました)
 

「Feature | 特集」最新記事