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その症状、「更年期だから」とガマンしていませんか?

2020年 5月26日 16:29

はじめに 

更年期症状は閉経にともない卵巣機能が低下し、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌量が急激に減少することでおこります。今までエストロゲンによって調節されていた体のさまざまな機能は、エストロゲンの分泌量が減ることで、うまく働かなくなります。
これに加齢にともなう身体的変化、心理的因子、家庭や職場・地域などの社会的因子が、複合的に影響することで更年期症状が現れます。

具体的な症状は?

更年期症状は千差万別で、重い人も軽い人も、あまり不調を感じない人もいます。
主な症状は次のようなものです。
「ほてり、のぼせ、発汗、冷え、めまい、耳鳴り、頭痛、動悸、息切れ、イライラ、不安感、不眠、抑うつ、無気力、肩こり、腰痛、関節痛、疲労感、皮膚症状(乾燥、かゆみ、湿疹など)、腟の乾き、性交痛、頻尿、尿失禁、膀胱炎」。このほかにも、さまざまな症状があります。

しかし安易になんでも「更年期だから」と片づけてしまうと、実はほかの病気を見逃していたということもあります。気になったら病院の受診をお勧めします。

どんな治療になりますか

生活習慣の乱れは、更年期症状を悪化させる原因の1つです。とくに睡眠不足や運動不足は大きな影響を及ぼします。定期的な運動を取り入れることも更年期症状の解消に役立ちます。また食生活をきちんと見直してみることが大切です。

薬物療法には、不足するエストロゲンをお薬で補う治療法があります。
エストロゲン製剤の単独療法や、黄体ホルモン(プロゲスチン)製剤の併用があります。
症状に応じて漢方薬、抗うつ薬、向精神薬などが用いられることもあります。

ドクターからひとこと

更年期のストレスは「自分の生き方や老後」にかかわるものが多いです。そのため自分の人生を見直し、これからを考えるいい機会でもあるのです。その準備期間だととらえ、やりがいのある仕事や趣味、サークル活動を見つける努力をしたり、夫婦関係を再構築して新たな信頼関係を築くことが、更年期障害の解消につながります。

(製鉄記念八幡病院 蜂須賀 徹 産婦人科部長に聞きました)

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