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膝の軟骨がすり減って痛い。それは「変形性膝関節症」です

2021年 5月26日 14:36

腰痛に次いで、2番目に多い疾患。3,000万人が予備軍?!

変形性膝関節症とは膝の軟骨がすり減って、痛みや腫れが生じている状態のことです。膝の違和感くらいから始まり、動作時の痛みが進行して、徐々に動きが悪くなっていきます。炎症が生じていると水がたまったり、熱をもったりもします。末期になると外見でもはっきりわかるO脚になることも多いです。
日本では膝の軟骨がすり減って、痛みを感じている人は推定1,000万人程度いるといわれ、無症状でもレントゲンで軟骨のすり減りを確認できる人を含めると3,000万人いるといわれています。
整形外科疾患では腰痛に次いで2番目に多い数となっています。男性は50代、女性は40代から増え始め、年齢とともに有病率は高まっていき、男女比は1:3~4で女性に多いです。

原因は加齢、肥満、遺伝…

原因は加齢によるものが多いですが、肥満や遺伝的素因が関係していたり、靭帯損傷や半月板損傷からくるものもあります。診断は通常、X線撮影で行います。半月板損傷等の有無の確認が必要な際は、追加でMRIの撮影を行う場合もあります。また、関節リウマチや感染などとの鑑別が必要な際には血液検査や関節穿刺を行うこともあります。
一度すり減ってしまった軟骨をもとの形に修復する治療は困難ですので、症状を緩和する治療が中心になります。治療には薬物療法や物理療法、運動療法などがあります。具体的には、湿布や飲み薬を使いつつヒアルロン酸の関節注射を行い、電気を当てたり筋力トレーニングを行ったりしていきます。サポーターなどの装具を使用することもあります。  
これらの治療でも症状が軽減しないときは、手術療法を行う場合があります。手術には骨切り術や人工関節置換術などがありますが、どの手術法にもメリット・デメリットがあります。いきなり手術となることは少ないですので、膝の痛みを感じたら、まずはお近くの整形外科を受診してみてください。 (整形外科医長 川口 雅之先生に聞きました)

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