広報Report
新型コロナウイルスワクチンの副反応について
2021年 2月19日 10:55
日本でも新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まりました。着々と準備が進んでいますが、ここであらためて「新型コロナウイルス感染症まとめ第2弾」をお送りします。
コロナにかかった方の症状はどう経過する?、ワクチン接種について、当院の呼吸器内科部長 古森雅志医師に聞きました。
新型コロナウイルス感染症は、どのように症状が推移しますか。
初期症状は発症して約1週までにインフルエンザやかぜに似た発熱、咳、倦怠感、息苦しさなどがみられ、約10%に下痢、15〜17%に味覚や嗅覚の障害もみられます。約80%の方は1週間程度で軽症か症状のないまま良くなります。残りの20%の方は1週間から10日位で肺炎を発症し咳、痰、呼吸困難の症状が悪くなり、中等症〜重症に移行します。症状が1週間前後続く場合はかかりつけ医などに相談し、症状が強ければ、早めに受診してください。
中国における約4万症例の解析結果を参考に作成(Wu JAMA2020)年齢や基礎疾患などによって、重症化リスクは異なる点に注意。
図:新型コロナウイルス感染症の経過「新型コロナウイルス感染(COVID-19)診療の手引き・第4.1版 2020年12月より
重症化しやすい人の特徴は?
新型コロナ感染症の重症度は肺炎による酸素不足の程度により分けられています。肺炎が重くその後の肺変化が強いほど重症度が高くなります。現在のところ重症化する危険因子に、65歳以上の高齢者、持病に慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、脂質異常症がある方、BMI 30以上の肥満の方および喫煙者などがあげられています。
【重症化のリスク因子】
重症化のリスク因子(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第4.1版. 2020年12月より)
- 65歳以上の高齢
- 悪性腫瘍
- 慢性閉塞性肺疾患
- 慢性腎臓病
- 2型糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症
- 肥満(BMI30以上)
- 喫煙
- 固形臓器移植後の免疫不全
新型コロナワクチンとはどういうものですか
現在、欧米で接種されているワクチンは新型コロナウイルスの遺伝情報の一部を用いて、リンパ球の免疫応答により、新型コロナウイルス感染症の発症抑制効果を示します。日本で使用が予定されているワクチン3剤はいずれも高い有効性が確認されています。
今のところ、新型コロナ感染症の特効薬はなく、ワクチンによる予防効果が非常に期待されます。
新型コロナワクチンの副反応について教えてください
新型コロナワクチンの副反応はまず、他のワクチンと比べ接種部位の疼痛の頻度がかなり高いようです。特に2回目接種後の発熱も頻度が高く、倦怠感や頭痛、吐き気なども見られます。アナフィラキシーという重篤なアレルギー反応は米国では100万回分の5例と非常に少ない頻度で報告されています。
これまでに重いアレルギー反応やアナフィラキシーを起こしたことがある人はワクチン接種後、少なくとも30分間、それ以外の人はワクチン接種後少なくとも15分間待機・経過観察が推奨されており、日本でもそれに準じた対応になると思います。
しかし、日本人のデータや長期的なデータが十分揃っていないのは確かで今後、医療者が注意深く観察していくことになります。
(参考資料)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第4.1版. 2020年12月.
一般社団法人日本感染症学会ワクチン委員会. COVID-19ワクチンに関する提言(第1版). 2020年12月.
(製鉄記念八幡病院呼吸器内科部長 古森雅志医師に聞きました)