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子宮体がん ~更年期や閉経後の不正性器出血に注意~

2022年 1月25日 16:04

子宮体がんとは

子宮は妊娠したときに胎児を育てる部分と分娩の時に産道の一部となる部分に分けられ、それぞれを子宮体部、子宮頸部といいます。
子宮体部に発生する「子宮体がん」は、月経のもととなる子宮内膜より発生するため、子宮内膜がんともいわれています。子宮体がんの発生には、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンが関与しています。これは、乳がんと同様です。

このホルモンの分泌異常で、子宮内膜増殖症という前段階を経て、子宮体がんが発生することが知られています。出産経験の少ない人、月経不順、肥満、糖尿病、エストロゲンの長期使用、乳がんの罹患履歴などが発生リスクを増加させます。

更年期や閉経後の不正性器出血にご注意を!

一番多い症状は不正出血です。
更年期や閉経後に不正出血があるときは、特に注意が必要です。
閉経前であっても、月経不順や乳がん後のホルモン療法中の方も注意を要します。

検査法は

診断には、子宮内膜の採取を行い、病理検査を行います。子宮頸部を通して子宮内腔に細い器具を挿入して子宮内膜の細胞や組織を採取します。
補助診断として、超音波検査で子宮内膜の厚さを測定したり、MRI検査を行います。
子宮体がんの検査は、子宮頸がん検査に比べて検出の精度が低いので、一度の検査で陰性であっても不正出血の症状が続くときは検査を繰り返すことが重要です。

治療は

治療の主体は手術です。
基本的には子宮卵巣の摘出+周囲のリンパ節の摘出が一般的です。現在は腹腔鏡下手術やロボット手術も保険適応となっています。進行がんの場合は、化学療法や放射線療法が追加されます。
若年婦人で、子宮を温存して将来の妊娠・出産を希望される場合は、黄体ホルモン剤を使って治療することも可能です。ただし、適応となるのは初期のがんで、一部のタイプに限られますので、
専門医との十分な相談が必要です。

最後に

子宮体がんは病気が子宮内にとどまっている段階で治療すれば、80%以上治癒するがんです。
早期発見が鍵となりますので、不正性器出血があるときは、早期に婦人科医を受診されてください。

(文:製鉄記念八幡病院 産婦人科部長 中原 博正) 

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