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ご注意ください!清涼飲料水の飲み過ぎ!

2021年 5月26日 14:44

これからの季節、ついついスポーツドリンクや清涼飲料水に手がのびます。気をつけていただきたいのは、清涼飲料水の飲み過ぎからくる「糖尿病」です。

糖尿病になると

糖尿病は血糖値が高くなる病気です。健康な人の血糖値は通常100mg/dL前後ですが、糖尿病の人は軽く200mg/dLを超えるようになります。
正常な血糖では尿に糖が出ることはありませんが、血糖値が200近くになると尿に糖が出るようになります。
尿糖が増えると、浸透圧の影響で血液中の水分が尿として出るようになり、尿量が増えます。
その結果、体内は脱水になるため喉が渇き、水が欲しくなります。
尿糖が増えると、食べ物が体を素通りして尿に出て行くため、栄養が身につかず痩せてきます。
体はきつくなり、夜中に何度もトイレに起きるため睡眠不足になり、さらに疲労がたまります。
このようにして糖尿病に特徴的な「口喝、多飲・多尿、体重減少」といった症状が現れるのです。

冷たく甘い飲み物を欲しがる

初めて糖尿病が見つかり、病院受診した方を診察する際にいつも不思議に思います。
皆さん決まって、ある傾向の飲み物を飲んでいます。それは氷水やコーラ、サイダーなどの炭酸
飲料です。冷たい炭酸の泡の刺激が、渇いた喉に心地よいのです。
昨年の健康診断では何も言われなかったのに、急に血糖値が上がって来院したという方はこのような、砂糖が入った清涼飲料水を1日に2リットル近く飲んでいます。

喉が渇くのでジュースを飲む⇨砂糖でさらに血糖値が上がる⇨尿糖・尿量が増え、ますます喉が渇く。

このような悪循環に陥った人の中には、血糖値が500mg/dLを超える人が少なくありません。
そして共通していることは太っていることです。すでに健康診断で肥満を注意され、肝臓の数値が高い、中性脂肪が高い人は要注意です。

脱水予防に適した飲み物は?                                    

熱中症対策として、スポーツドリンクを飲む人もおられるでしょう。
しかし、スポーツドリンクのブドウ糖濃度は6~10%であり、ジュースにも匹敵するため注意が必要です。
発汗量が多い人の脱水予防には、スポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、糖濃度が低い経口補水液の方が適しています。経口補水液は大手の薬局やスーパーで手に入ります。

糖尿病の高血糖状態になるとまず入院が必要になります。働き盛りの皆さんにとって入院は職場や家族にも迷惑をかけることになるでしょう
。健康に気をつけて、ふだんから糖尿病にならない生活習慣をこころがけましょう。


文責:製鉄記念八幡病院 糖尿病センター長 中村宇大
専門分野/糖尿病・代謝異常症

 

 

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