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クスリのはなし

お薬の包装シートの誤飲が多発。ご注意ください!

2021年 7月30日 09:23

高齢者による誤飲、誤食による事故が多く発生しています。お薬や入れ歯といった身近にあるものや、洗剤・洗浄剤など普段の生活に欠かせないものを誤飲・誤食する事故が多いのですが、中でもお薬の包装シートである“PTPシート”の誤飲は後を絶ちません。

PTPシートって?

PTPシートとは、お薬を包装しているアルミなどの薄いシートとプラスチックで1錠ずつ分けて、
包装したもののことです。飲み忘れがないようにと一錠ずつ切り離して、飲む時間ごとに薬を管理されている方も多いのではないでしょうか。現在のPTP シートは誤飲を防ぐためにミシン目(分割線)をあえて一方向のみとし、1錠ずつに切り離せないようになっています。もしシートをハサミなどで切り離すと、切り口がとがってしまい、誤って飲み込むとのどや食道、腸などを傷つけたり、穴を開けたりして重大な傷害を招くおそれがあります。

また、痛みなどの症状が表れるまでは誤飲に気付きにくく、体調不良で検査しても、PTPシートの素材はX線を透過してしまうため、発見が遅れ重症化するおそれもあります。

高齢者の誤飲を防ぐために

高齢者ではPTPシートを自覚していないことも多く、家族や介護者等周囲の人が気を配ることが大切です。医薬品の管理が困難と思われる場合には、ご家族等に内服時に見守りを行ってもらったり、必要に応じてお薬を一包化にしてもらうなどの対応が必要です。

また、視覚や味覚の衰えなどの身体機能の低下や、認知症により十分な注意を払えなくなる、取り違えや思い込みが起こりやすくなる等の理由で、誤飲・誤食事故のリスクが高まると考えられます。
万が一、誤飲・誤食事故が発生した場合は、直ちに患者の状態や誤飲したもの・量を確認した上で、必要に応じて医療機関を受診しましょう。また、吐物が気管に入ってしまうことや、吐かせることで症状が悪化するものもありますので、むやみに吐かせないようにしましょう。  
(製鉄記念八幡病院 薬剤部部長 後藤渉)

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