せいてつLab ~医療を知る 健康を守る~

広報Report

サバ、イカ、アジのうまい福岡だからこそ 「アニサキス症」にご注意を

2021年 10月06日 15:27

アニサキスは寄生虫の一種です

アニサキスは海水中で卵がふ化し、プランクトンであるオキアミに食べられて幼虫となります。
このオキアミを「アジ・サバ・サンマ・イワシ・タラ・サケ・イカ」などの魚介類が食べて、虫体を体内に取り込みます。これらを人間が生で食べることによって、症状をきたす病気を「アニサキス症」といい、特に多いのが胃に発症する「胃アニサキス症」です。
福岡県はサバやイカなどの美味しい地域であり、これらを生で食べる機会も多いため、アニサキス症には十分注意する必要があります。
  

主な症状は

胃アニサキス症では魚介類を生食後、数時間で胃の痛み、吐き気などの症状が現れます。
これらはアニサキス虫体が、胃の壁に噛みついたことによって起こる直接的な症状ではなく、噛みついた虫体に対するアレルギーによって生じるものです。

治療は

上部消化管内視鏡(胃カメラ)による虫体の除去が第一選択ですが、夜間や満腹時など緊急に内視鏡が行えない場合には、抗アレルギー剤により症状を緩和させて経過観察することもあります。

そのほか、虫体が胃を通過して小腸や大腸の壁に噛みつき、腹痛・嘔吐・発熱などを生じる「腸アニサキス症」、蕁麻疹や血圧低下、呼吸苦をおこす「アニサキスアレルギー(アナフィラキシー)」などを発症し、まれに重症化することもあります。
魚介類を摂取した後にこれらの症状が現れた場合は、単なる「食あたり」と軽視せず、すみやかに医療機関を受診することをお勧めします。
文責:製鉄記念八幡病院 消化器内科部長 中村 滋郎

「広報Report」最新記事