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この冬、咳が長引いていませんか? それは咳喘息(せきぜんそく)かもしれません

2017年 1月06日 14:52

「咳喘息とは?」  

8週間以上続く咳を慢性咳嗽(まんせいがいそう)と呼びます。その中で(やや幅はありますが)10〜55%は咳喘息であると報告されています。「ぜーぜー、ひゅーひゅー」と呼吸困難発作を伴う典型的な気管支喘息と同様に、咳喘息も、きっちりと治療しなければならない病気です。

                     「セルフケアナビぜんそく(成人用) 平成22年12月発行 厚生労働科学研究より」

気管支喘息とは呼吸のための空気の通り道である気道(特に気管支)に特有の慢性的な炎症が起き、空気の流れが制限される病気です。
気道の炎症は特定のアレルギー原因物質やその他の物質を吸い込んで、その刺激により気道過敏性(気道の過剰な反応)が高まり、その結果、気道の収縮や粘膜のむくみ、痰の増加により、呼吸苦や激しい咳と痰の症状をもたらします。

そのまま気道炎症を放置すると、気道壁のリモデリングという構造変化が起こり、喘息が慢性化して、薬が効きにくくなる現象が起こってしまいます。喘息の治療で必須なのは、吸入ステロイド薬を続けて、気道の炎症を抑えることです。

一方、咳喘息(せきぜんそく)は咳だけを症状とする、気管支喘息の一型です。典型的な喘息と同様に、特有の気道炎症が原因となります。また放置すると、発作性の気管支喘息に移行したり、気道リモデリングが進んでしまう可能性があり、通常の喘息と同様に吸入ステロイド薬などできちんと治療をしなければなりません。

これまで咳喘息は、診断が難しい病気でしたが、近年、特有の気道炎症を反映する呼気一酸化窒素(NO)濃度を測定することにより、正確な診断が容易にできるようになりました。検査は測定器に息を吹き込むだけの簡単な方法で行えます。

当院ではこの「呼気NO測定器」での検査が可能です。喘息は冬場のウイルス感染をきっかけに症状が悪くなるといわれています。
長引く咳でお困りの場合には、かかりつけ医や当院へご相談ください。


(製鉄記念八幡病院 呼吸器内科部長 古森 雅志)

 

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