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冬場の血圧上昇にご用心!

2022年 11月08日 08:53

Q.高血圧とは?

病院や健診で測った血圧が140/90mmHg以上、家庭で測った血圧が135/85mmHg以上で高血圧と診断します。日本には高血圧の方が4300万人いると推定されていますが、高血圧とわかっていても「どうもない」という理由で受診しない人が少なくありません。
しかし、高血圧は「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」とも呼ばれる恐い病気です。放置すると要介護の原因となる脳卒中や心臓病、腎不全などに加えて、認知症のリスクとなることもわかっています。健康寿命を伸ばすためにも高血圧の治療は重要なのです。

Q.血圧は季節によって変動します

「血圧は夏に低く、冬は高くなりやすい」というのは、何となく皆さんもご存知だと思います。
個人差はありますが、夏と冬で10~20mmHg程度違うことが多く、人によっては冬に朝の血圧が30mmHg以上、高くなる方もおられます。

どうして血圧は夏に低く、冬に高くなりやすいのでしょうか?

血圧は生活習慣と密接な関係があり、特に食事(塩分)、体重(肥満)、運動に影響を受けます。夏はあっさりとした食事を摂ることが多いのに対し、冬は鍋物やおでんなど暖かい食事となりやすく、塩分摂取量も多くなりがちです。また、寒い時期には運動量も減り、汗もかきにくくなり、体重も増加しがちです。塩分摂取量の増加、体重の増加はいずれも血圧を上昇させる方向に向かわせます。さらに気温の低下、特に朝の室内温度が低いと交感神経が亢進し、血管が収縮して血圧が上昇します。

Q.冬場の血圧管理の注意点は

まずは、朝の血圧を測りましょう。
朝の血圧が高いほど、脳卒中や心臓病のリスクが高くなることが分かっており135/85mmHg未満とするのが目標です。昼間や夜の血圧は正常なのに朝だけ高い(早朝高血圧)、病院では良い値なのに家で測ると高い(仮面高血圧)方もいますので、病院で測った血圧だけで判断せず、家庭でも測って主治医に見せることが重要です。寒い時期は、エアコンを入れて部屋を暖かくしてから起床し、血圧を測定しましょう。鍋料理や味噌汁などは出汁をとって薄味とし、塩分を尿から排出し、血圧を下げてくれるカリウムを多く含む野菜をたっぷり入れて具沢山としましょう。日本高血圧学会減塩・栄養委員会が認定し、ホームページで紹介している減塩調味料や減塩食品も上手に利用して下さい。体重管理、肥満予防のため、昼間の暖かい時間を利用したウオーキングもお勧めします。あなどると怖い高血圧ですが、上手に付き合って「一病息災」といきましょう。

(製鉄記念八幡病院 理事長 土橋卓也先生に聞きました)

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