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突然の胸痛、呼吸苦、咳。気胸を解説します

2024年 5月14日 12:57

気胸って?

気胸とは何らかの原因で肺に穴があき、空気が漏れ、肺がしぼむ病気です。自然気胸は20歳前後と60歳代以降によく起きます。
若い患者さんの特徴は「男性、長身、やせ型」。一方で高齢患者さんの場合は、「重喫煙者で栄養状態の悪い人」に多く起きます。重喫煙者の肺は痛んでもろくなっているため、治療に時間がかかったり、治療後に気胸が再発したりすることも少なくありません。症状は突然に生じる胸の痛み、呼吸苦、咳などです。

診断方法は?

自然気胸の診断は胸部X線検査で行います(非常に軽度の気胸は、胸部CT検査で初めて診断されることもあります)。肺のしぼみ具合により、重症度を次のように分類します。


軽度気胸:
 肺尖部(肺の一番上の部分)が鎖骨の高さよりも上にある状態。
中等度気胸: 軽度と高度の中間程度。
高度気胸: 肺が完全にしぼんでいる、あるいはそれに近い状態。

治療は

軽度の場合は、外来通院で経過観察することが可能です。
中等度の場合、入院の上、経過観察もしくは胸腔ドレナージ(局所麻酔下に胸の中にドレーンという管を入れて、胸に溜まった空気を体の外に出し、肺を膨らませる治療)。
高度の場合は入院の上、胸腔ドレナージが必要となります。

自然気胸が初発の場合は、手術せず穴が自然にふさがり空気漏れが止まるのを待ちます。
しかし、治ったとしても空気漏れの原因となった部分に再び穴があくことも多く、再発率は40~50%といわれています。
初発であっても空気漏れが止まらない場合、自然気胸が再発した場合、両側とも気胸になった場合や気胸の再発をなるべく避けたい場合(仕事や受験など大切な行事を控えている場合)などには、手術を選択します。

気胸の手術は

近年はほとんど胸腔鏡下で行っています。自動縫合器という機械で空気漏れの原因となっている穴の部分を切除する方法ですが、時に穴の周囲を糸でしばってふさぐ方法も用います。再発の可能性が高いと考えられる場合には、肺の表面を補強するシートを貼るなどの予防処置を追加します。気胸の手術後は4~5日(若い患者さんであれば2~3日)で退院できることが多いです。

(社会医療法人製鉄記念八幡病院 呼吸器外科部長 塚本修一先生に聞きました)

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