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胃カメラを用いた早期胃がんの内視鏡治療
2026年 4月14日 17:26
注目を集める!胃カメラを用いた内視鏡治療
ピロリ菌感染率の低下や除菌の普及に伴い、胃がんの有病率は低下しつつありますが、臓器別がん死亡率の中で、胃がんによる死亡は未だ上位を占めています。(男性は肺がんに次いで第2位、女性は大腸がん、肺がんについで第3位:厚生労働省人口動態統計)
また、医療技術の進歩で早期発見・早期治療が可能となった胃がんの治療法として、胃カメラ(上部消化管内視鏡)を用いた内視鏡治療が大きな注目を集めています。胃がんは早期に発見されれば、体への負担を最小限に抑えて根治できる可能性が高まります。
早期の胃がんとは?
早期胃がんは、がんが粘膜の下層にとどまっている段階を指します。リンパ節転移のリスクが低く、内視鏡的治療で根治可能な場合が多いのですが、自覚症状が乏しく、検診や人間ドックで偶然発見されるケースが多数を占めます。
そのため、定期的な検診と高精度の内視鏡診断の受診をお勧めします。

胃カメラができること
胃カメラは細長い柔軟なチューブの先端に、高性能のカメラとライトが搭載されていて、口や鼻から挿入して、食道・胃・十二指腸の内部を観察できます。医師がリアルタイムで粘膜の変化や腫瘍、潰瘍などの病変を高精細画像で直接確認できます。病変の切除、止血処置、組織採取(生検)といった治療も可能です。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)について
胃カメラを使った早期胃がんの治療は、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)と長期生存率の向上に大きく寄与する画期的な治療法です。ここでは、その代表的な内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)をご紹介します。
ESDは、より大きな病変や形状が複雑な腫瘍にも対応できる先進的な治療法です。特殊な電気メスを用いて、粘膜下層を精密に剥離しながら病変を一括で切除します。難易度が高い分、完全切除率が高く、再発リスクも低減できます。一方で、出血や穿孔といった合併症のリスクも伴います。

適応基準と治療の選択
胃カメラを使った内視鏡治療は、腫瘍の大きさ、深達度、形状、リンパ節転移の有無など複数の因子に基づき、厳格に判断されます。ESDが適応となる一般的かつ主な基準は次の通りです。
- がんが粘膜または粘膜下層にとどまっている
- 腫瘍の大きさが一定以下である〈2cm以下はEMR(内視鏡的粘膜切除術)の適応〉
- 画像診断や生検でリンパ節転移の疑いがない
これらの条件を満たさない場合や、進行がんの場合は外科手術など他の治療法が選択されます。
合併症と注意点
内視鏡治療は侵襲が少ない一方で、次のような合併症が起こることがあります。
- 出血:処置中や術後に出血することがあり、止血処置が必要となる場合があります。
- 穿孔:胃壁に穴があく。極めて稀ですが発生すると緊急手術が必要です。
- 狭窄:切除範囲が広い場合、治癒過程で胃の通過障害が生じることがあります。
こうしたリスクも専門医の技術向上や治療機器の進化により、年々低減しています。
術後の生活と経過について
治療後は通常、数日の入院で済み、社会復帰も早いのが特長です。食事や運動に一定の制限が課されますが、多くの患者さんは通常の生活をすぐに取り戻せます。完全切除できれば再発リスクも非常に低く、長期的な予後も良好です。
メッセージ
当科ではバリウムを用いたエックス線検査や胃カメラで、腫瘍の肉眼形態(見た目、外観)を評価し、治療前に正確ながんの範囲、深達度診断を行っています。また、消化器外科、病理診断科、放射線科と連携し、診療ガイドラインに沿って、内視鏡治療の適応を判断しています。
今後、AI技術や高精度画像診断装置、ロボット支援内視鏡など、胃カメラを利用した内視鏡治療はさらに発展を遂げていくと予想されます。一方で、胃がん患者さんの抱える不安や恐怖はいつの時代も変わりません。胃がんの診断から治療後の経過観察まで、誠心誠意、取り組んでいきたいと思います。
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社会医療法人製鉄記念八幡病院 消化器内科主任医長 保利 喜史


