検査部
概要
検査部は26名の検査技師、3名の検査助手が在籍し、3名の医師(検査部長、病理診断科部長、研修病理医)、非常勤検査技師2名、看護師(派遣3名)と連携し業務を遂行しています。検査部の構成は以下に示す部門から成ります。
- 血液や尿、穿刺液や髄液などの分析を行う生化学・免疫検査部門、血液・凝固検査部門、一般検査部門
- 組織や細胞の形態検査を行う病理検査部門
- 的確な輸血治療を行うための輸血管理部門
- 細菌の培養や同定を行う細菌検査部門
- 患者さんの循環機能、呼吸機能、神経・筋機能、画像診断を行う生理機能検査部門
- 外来採血室
検査は24時間体制で行い、精度の高いデ-タを迅速に臨床へ提供するよう努め、チーム医療にも積極的に参加しています。また、精度保証施設認証も取得し、各種学会による認定検査技師*1も多数在籍しています。
*1細胞検査士、国際細胞検査士、認定輸血検査技師、超音波検査士、睡眠医療認定技師、血管診療技師、脳神経超音波検査士、糖尿病療養指導士、緊急臨床検査士、心血管インターベンション技師、認定病理検査技師、乳腺超音波認定検査技師
基本理念
- 臨床検査技師は患者さんの安心安全のため高度な技術をもって診療を支援します
業務内容
生化学検査
生化学検査室ではおもに採血管を遠心して得られる上清(血清)を使って検査を実施しています。当院ではおもに自動分析装置(BM-6050)を使用し、糖尿病の指標となる血糖やグリコアルブミン、動脈硬化の指標となるコレステロールや中性脂肪、肝機能を調べるASTやALT等の酵素といった項目を、約40項目測定しています。
免疫検査
免疫検査室では、生化学検査と同じく血清や血漿を使って検査を実施しています。
当院ではおもに免疫化学発光測定装置(ALINITY-I)を使用し、B型肝炎やC型肝炎、梅毒やエイズに感染していないかを調べる感染症の検査や、各臓器に腫瘍ができた時に上昇する腫瘍マーカー、甲状腺の機能を調べる甲状腺ホルモンの測定を実施しています。その他、心不全や心筋梗塞の診断時に測定する心筋マーカー、薬物の適正使用時に測定する血中薬物濃度を実施しています。
血液検査
【血球算定】
血液中のさまざまな細胞数を全自動血球分析装置(XN-3000,XN-1000 Sysmex)で測定しています。
- 『赤血球・ヘモグロビン・MCV・MCH・MCHC』
- 貧血の有無と原因の推測を行います。
- 『白血球』
- 白血球は機器で分類不能な場合は、標本を作製し顕微鏡で見て分類します。
【凝固検査】
抗凝固療法のモニタリング(PT、APTT)、肝疾患の肝機能の指標(PT)、術前の出血傾向の検査などに用いられます。全自動凝固測定装置(CS-2100i) で7項目の検査を行っています。
【骨髄穿刺検査】
貧血や白血病などいろいろな血液疾患の診断を目的に実施します。骨髄有核細胞数、巨核球数の算定、塗抹標本の作製、鏡検を行います。
一般検査
一般検査室では、尿検査、便検査、関節液検査を行っています。
病理検査室
病理検査室には5名の臨床検査技師(内2名は国際細胞検査士)が病理診断科スタッフとして在籍し、おもに下記の業務を行っています。
- 病理診断標本作製
手術・内視鏡検査および解剖等で採取された組織を、顕微鏡で詳しく観察するための標本を作製します。 - 術中迅速病理診断標本作製
手術中に組織凍結ミクロトームを使って迅速病理標本を作製します。 - 細胞診検査
腫れ物や分泌物から細胞を採取して標本を作製し、がん細胞の有無を顕微鏡で調べます。 - 病理解剖(剖検)
病理診断標本作製
手術・内視鏡検査および解剖等で採取された組織を、顕微鏡で詳しく観察するための標本を作製します。
組織の種類や診断目的に応じてさまざまな染色を行います。当院病理診断科では2名の病理専門医が病理診断を行っております。
*乳腺針生検
エコー等でしこりを認めたら、乳腺組織の一部を専用の針で採取して性状を調べます。
*腎生検
細い針を使って太さ1mm程度の腎組織の1部を採取し、1-2μm厚の薄切片を作ってさまざまな染色を行います。
術中迅速病理診断標本作製
手術中に腫瘍組織の良性・悪性等の決定や、がんの転移や取り残しの有無を30分以内で確認します。組織を急速に凍結し、組織凍結ミクロトームを使って迅速病理標本を作製します。組織の代わりに細胞を採取して迅速細胞診標本を作製することもあります。
細胞診検査
エコー・CT・触知 等でしこりや腫れ物が観察された場合、細い針を病変部に刺して細胞を採取し、がん細胞の有無を顕微鏡で調べる場合があります。がん細胞は尿や痰や分泌物に混じっていることもあります。細胞はがんだけではなくさまざまな疾患・感染症で特徴的な形態に変化することがあります。細胞検査士はこのような異常細胞を探し出し、病理専門医(細胞診専門医)が診断します。
病理標本の取扱いについて
患者さんから採取された手術材料やご遺体から剖検によって採取された組織は、病理診断終了後最低5年間保存し、患者さんの診療に必要な場合は再度検索が可能にしています。
また、当院規定の保存期間後は、丁重に火葬に付されます。但し病理診断時に作製されたガラス標本やパラフィン(蝋)に埋め込まれた組織の一部は、後日新しい治療薬が適応するかどうか調べたり、病気が再発した場合や類似疾患との比較のために、半永久的に保存されます。
輸血管理室
輸血管理室では輸血前に必要な血液型・不規則抗体検査、輸血用の製剤や自己血の管理、輸血後感染症検査など輸血前から輸血後まで、患者さんお一人おひとりの輸血医療をサポートしています。
【輸血検査】
バーコード付き採血管、輸血管理システム、高感度な全自動輸血検査装置の導入により採血から結果報告までを正確に行います。検査により稀な血液型と判明した場合は当院以外でも安全に輸血して頂けるように、携行カードを検査技師が直接お渡しします。
【製剤管理】
日本赤十字社から供給される赤血球・血漿・血小板などの血液製剤はもとより、アルブミン製剤を含め全て日本国内で生産されたものを採用しており、これらを適切な温度と保管方法で管理することで高い品質を維持しています。
【サポート】
患者さんの採血データや循環血液量から、その輸血が適正であるか常に監視しています。輸血開始時は医師や看護師と共に可能なかぎり輸血の専任技師も患者さんのベッドサイドで副反応の観察を行うことで、より安全な輸血医療となるよう努めています。
細菌検査室
細菌検査室では、患者さんから採取した検査材料(喀痰・尿・膿・便・血液など)から感染症の原因となる細菌や真菌を見つけ出し、どのような薬剤が効くのかを調べています。具体的には次の検査項目があります。
【塗沫検査】
微生物(細菌など)は、文字通り肉眼では見えないため、塗り広げた検査材料を菌が見えやすいように染色して菌がいるかどうかを顕微鏡で拡大して観察します。
【培養同定検査】
検査材料を適切な寒天培地に塗り広げた後、適切な条件で菌を発育させ、形・色・臭い・生化学的性状から菌種を特定します。
【薬剤感受性検査】
特定した菌種にどのような薬剤が効果があるのかを調べます。
その他にも食中毒の原因となるO-157・ノロウィルス、小児の咽頭炎の原因となるA群溶連菌、乳児の下痢の原因となるロタウイルス、肺炎の原因となる肺炎球菌抗原・レジオネラ抗原などを迅速抗原検査にて検出し、10分~30分で報告しています。
また、院内感染対策監視菌が検出された場合には、ただちに病棟や医療安全管理室などに情報提供し、院内感染防止に努めています。
生理機能検査
生理機能検査は心電図検査や肺機能検査、超音波検査など患者さんの体で直接検査を行います。
検査に際しては、患者さんが安心して検査を受けられるよう心がけております。
担当する技師は専門的な技術や知識の習得に努め、診断に適切な結果結果を提供していく努力を行っています。
生理機能検査は患者さんの体で直接検査を行います。女性患者さんには女性の技師が対応するなど配慮を行っています。
循環機能検査
心臓の電気活動を記録して心臓の虚血や不整脈を評価します。さらに心臓にさまざまな負荷をかけた状態で行います。また、心臓の動きや弁の状態を見たり、心臓を養う血管の流れを見たりして、さまざまな心疾患の評価に有用です。
呼吸機能検査
肺活量、気道の大きさ、拡散能力などの生理学的病態の特徴を検出します。これにより肺の機能障害の評価が可能です。
神経機能検査
脳細胞の電位を記録することによって、脳神経の働きを評価します。これにより、てんかんや脳梗塞などの評価に有用です。また、末梢神経の活動電位を測定することで、運動・知覚障害の原因検索を行うことが可能です。
採血室
8時30分より17時まで外来の患者さんの採血を行っています。
採血アシストシュリューションで患者さんの採血ブースへの誘導、患者確認を行い、個々の注意事項を確認して採血を行います。
BC-ROBO(採血管準備システム)で医師の検査依頼の採血管が自動でラベルを貼って出力されます。採血管間違いの採血ミスの防止、採血待ち時間の短縮になります。
また、スタッフも、患者さんの採血に対する不安を少しでも和らげるよう心がけています。