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それが聞きたかった!「五十肩(ごじゅうかた)」
2019年 12月10日 16:44
「腕が上がらない、肩が回らない。これって五十肩かしら…」。
私たちは肩の痛みを感じると何気に「五十肩」という言葉を使うことがあります。
「ごじゅうかた」って本当はどんな病気なのでしょう。今回は中高年に多い「五十肩」についてのお話です。
五十肩とは
いわゆる「五十肩」とは50歳代を中心として明らかな原因なしに、肩関節の痛みと運動障害を起こす病気です。正式な病名は「肩関節周囲炎」といい、40~60歳代が好発年齢です。
肩関節は上腕骨、肩甲骨、鎖骨の3つの骨で支えられ、関節を大きく動かせるような構造になっています。しかし、骨だけでは構造的に不安定であり、安定性を筋肉や靱帯組織に大きく依存しています。そのため靱帯組織の加齢による変化と肩の酷使によって、靱帯組織が傷つきやすくなり、痛みや動きの制限が起こると考えられています。
急性期・慢性期・回復期に分かれる
「五十肩」は症状の推移から三期に分けられます。発症から約2週間の急性期、その後約6ヶ月間の慢性期を経て、回復期に至ります。
急性期には運動時痛に加えて安静時痛や夜間痛が起こり、徐々に関節が固くなり、肩の動きが制限されるようになります。慢性期には徐々に痛みが軽くなり、日常生活でも不快さは減りますが、動きの制限は残ります。回復期には痛みも減り、少しずつ動かしやすくなり、ゆっくりと回復していきます。
自然に回復することがほとんどですが、元通りになるまでには約1年の経過が必要といわれています。関節の動きが極端に悪くなった人では、回復に数年かかることもあります。
五十肩は通常、片側だけに発生する
「五十肩」は通常、片側だけに発生します。回復後に同じ関節に再発することがないため、肩の痛みを繰り返す場合は、ほかの病気と見分ける必要があります。
腱板断裂、石灰性腱炎、変形性肩関節症、頸椎疾患、腫瘍性疾患、内蔵からの関連痛などに注意する必要があります。レントゲン検査、MR検査などが必要となる場合がありますので、痛みが強く心配な場合は、必ずお近くの整形外科を受診してください。
(製鉄記念八幡病院 田山尚久副院長・整形外科担当部長・リウマチ科部長に聞きました)