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多くの人を悩ませる頭痛 ~最近の薬について~
2024年 10月02日 14:07
一次性頭痛と二次性頭痛の違い
頭痛は多くの人を悩ませている疾患で、大きく一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。
一次性頭痛は片頭痛や緊張型頭痛などが代表的です。一方、画像診断等で脳に異常があって起こる頭痛を二次性頭痛といいます。
一次性頭痛のうち、片頭痛は心拍動に伴ってズキンズキンと片側が痛むのが特徴です。緊張型頭痛は頭の両側に圧迫感や締めつけられるような痛みが特徴です。
また、日常の生活動作で痛みがひどくなる場合は片頭痛、ひどくならない場合は緊張型頭痛であると考えられています。
この二つの区別は頭痛専門医でも判断が難しいとされています。
「患者さんの支障度が高い頭痛から治療する」という原則に従い、片頭痛から治療のアプローチを開始することが重要と考えられています。
慢性化する頭痛
頭痛はしばしば慢性化しやすく、なかでも「慢性緊張型頭痛」は月に15日以上起こり、頭痛の強度も強くなります。そうなると日常生活の質が低下し、心理的負担も大きくなるため、定期的な通院治療が必要になる場合があります。
原因としては、筋肉の緊張のコントロールや痛みを和らげる脳内システムの異常が関与している可能性が高いとされています。
一方、「慢性片頭痛」は月に15日以上かつ、このうち少なくとも8日間は片頭痛の症状が続く状態が3か月を超えて起こるものです。
片頭痛が慢性化する要因には、もともと発作頻度が高い、鎮痛薬を使い過ぎている、肥満、精神疾患(うつや不安など)の合併などが考えられています。
急性期治療薬をしばしば多用していて、一部は乱用状態にあり、次のような薬物乱用頭痛を合併していることがあります。
薬剤の使用過多による頭痛
薬物乱用頭痛(MOH:medication-overuse headache)は頭痛が1か月に15日以上あり、1種類以上の急性期または対症的頭痛治療薬を3か月超えて定期的に乱用している状態をいいます。
定期的な乱用とは、例えばエルゴタミンやトリプタンならば1ヵ月に10日以上、アセトアミノフェンやNSAIDsなら15日以上使用する場合となります。
MOHを治療する原則は、①原因となる薬剤の中止、②薬をやめた後に起こる頭痛への対処、③予防薬投与の3つですが、確立された治療法は今のところ、見つかっていません。
予防薬の早期導入は頭痛日数を減らす効果があることから、原因薬物の中止時もしくは中止前からの予防薬導入が推奨されています。
片頭痛の予防療法
「頭痛の診療ガイドライン2021」では、片頭痛の発作が月に2回以上、または生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある患者には、予防療法の実施を検討してみることが勧められる」と記されています。
予防薬としては、抗てんかん薬のバルプロ酸、カルシウム拮抗剤であるロメリジンがあります。
これらの薬で効果が不十分な場合に、CGRP関連製剤(エレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブ)などが登場しており、片頭痛の軽減に効果をあげています。
※CGRP関連製剤は脳神経外科専門医、脳神経内科専門医、総合内科専門医のみが処方できる薬です。
製鉄記念八幡病院 脳卒中・神経センター副センター長/脳神経外科部長 佐山徹郎
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