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まわりで増えていませんか?帯状疱疹

2024年 11月15日 09:09

最近、まわりで帯状疱疹を発症したという話、耳にしませんか? 

帯状疱疹はとくに50歳以上に多く見られる病気で、疲れやストレスなどによる免疫機能の低下が引き金となって発症します。
重症化するとさまざまな合併症がおきたり、つらい痛みが長期間、残ってしまうことがあります。水ぼうそう(水痘)になった人なら誰でもかかる可能性がある帯状疱疹。50歳以上が接種できるワクチンのことも紹介します。

今までに経験したことがない痛み

帯状疱疹は80歳までに約3人に1人が発症するとされるウイルス感染症で、とくに50歳を境に発症率が急激に上昇します。

症状はチクチク、ピリピリする痛みから始まり、多くの患者さんが「今までに経験したことのないような痛み」と表現します。しばらくすると、赤い小さな水ぶくれが帯状に生じます。
その形状から「帯状疱疹」という病名がついています。

体の左右どちらかに症状が出る

全身どこでも出現しますが、特徴として体の左右どちらかに出ます。
頭部、目、耳、陰部などに出ると失明や難聴、顔面神経麻痺や排尿障害といった合併症をひきおこす可能性があり、注意が必要です。

多くの方は、抗ウイルス薬の内服で治療ができますが、合併症の出現が心配な時は、入院して点滴治療をお勧めすることもあります。

水痘ウイルスが再び活性化して起こる病気

「水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化」が原因で、このウイルスに初感染すると「水ぼうそう(水痘)」として発症します。通常、水ぼうそうは1週間程度で症状がおさまります。

しかし、体内からウイルスがいなくなるわけではなく、長期にわたって潜み続け、あるとき再活性化して帯状疱疹として発症します。引き金となるのは、加齢や疲労、ストレス、自己免疫疾患、悪性腫瘍などによる免疫の機能低下と考えられています。

どこにウイルスが潜んでいるかというと、体内の「神経節」です。
前述のような免疫力低下のきっかけがあると、再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に到達し、帯状疱疹として発症します。神経にも炎症がおきているので、チクチク・ピリピリと痛いのです。

乳幼児、高齢者には患部に触らせないように!

基本的に帯状疱疹が周囲の人に感染することはありません。しかし、水ぼうそうにかかったことがない人は免疫がないので、水ぼうそうとして発症することがあります。
免疫がない乳幼児や高齢者には、患部に触らせないように気をつけましょう。

「帯状疱疹後神経痛」という後遺症について

1ヶ月くらい経つと皮膚の水ぶくれは乾燥し、皮膚症状は治癒に向かいます。


皮膚や神経の炎症に伴う急性期の痛みは1~3ヶ月程度で軽快します。しかし、中には「帯状疱疹後神経痛(PHN)」という後遺症に悩まされる方がいらっしゃいます。これは、神経の損傷による痛みで、皮膚の炎症が治まっても数ヶ月~数年以上、強い痛みが続き、患者さんを長期に渡り苦しめます。当院ではPHNに関してはペインクリニックの先生に紹介して治療をお願いしています。

帯状疱疹ワクチンのすすめ

50歳以上の方は、帯状疱疹の予防接種を受けることができます。予防接種は完全に発症を防ぐものではありませんが、ウイルスに対する免疫機能が強化されますので、かかったとしても重症化しにくく、神経痛も残りにくくなります。

帯状疱疹ワクチンには現在、2種類あります。弱毒化生ワクチン「ビケン」の1回の費用は約6,000-13,000円、不活化ワクチン「シングリックス®」は18,000-25,000円ほどです。シングリックスは2回接種が必要です(自費診療のため、実施医療機関ごとに費用は異なります)。

予防接種は何年、もつ?

予防接種の効果はビケンが5年、シングリックスが10年以上と言われています。
今のところ北九州市では助成などはありません。効果の持続期間や費用などが異なりますので、まずはかかりつけ医にご相談の上、接種をご検討ください。

帯状疱疹にかからないように、日頃から体調管理に気をつけて、免疫力を低下させないようにしましょう。痛みを伴う発疹に気がついたら、できるだけ早く受診してください。

製鉄記念八幡病院 皮膚科主任医長  横山 翌香
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