皮膚科

特色

皮膚の病気は、人目に触れるところに症状がでることがあり、患者さんの「生活の質」が低下してしまうことが多いのが特徴です。皮膚に病変がでる原因には、感染症、アレルギー、自己免疫、代謝異常、皮膚細胞の異常増殖、そして内臓疾患の関連するものなど、多くあります。
わたしたちは症状の原因を探して、それぞれの病気や皮膚の状態にあった治療を行うことで患者さんの「生活の質」を上げることをめざしています。
当院皮膚科の外来では、外用薬による一般皮膚科治療のほか、紫外線治療器Vトラックによる紫外線療法を行っています。良性皮膚腫瘍に関しては局所麻酔下での日帰り手術を積極的に行っています。
入院治療は蜂窩織炎、帯状疱疹など感染症が多く、乾癬、水疱症などの寛解導入療法、手術後の経過観察も行っています。また、急性期病院の皮膚科として、全身性疾患にともなう皮膚の随伴症状について他科併診のもと、入院中や退院後のサポートを行っています。

扱う疾患

  • 皮膚良性腫瘍(ほくろ、おでき、あざなど)
    イボに対する液体窒素療法、小さなホクロや粉瘤などの皮膚腫瘍は外来で切除術を、大きなものや皮下腫瘍は必要に応じて短期入院での手術を行っています。
  • 悪性腫瘍(皮膚上皮内がん、基底細胞がんなど)
    原則として、外科的に根治可能な上皮内がんや早期がんを中心に治療を行っています。皮膚は直接観察することができるため、皮膚がんは比較的早期に発見することが多いです。皮膚がんの種類によっては湿疹や母斑(ほくろ)との見分けが難しいものが多いですが、当科ではダーモスコピーや病理検査を用いて個々の患者さんに適した治療を提供できるよう心がけています。
  • アレルギー疾患(じんましん、アトピー性皮膚炎、金属アレルギー、薬疹など)
    原因や増悪因子の検索から、外用や内服治療、スキンケア、必要に応じて生活指導を行い、病態に応じた適切な治療をめざします。じんましんやアトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤を用いた治療も積極的に行っています。
  • 皮膚科慢性疾患(乾癬、水疱症、膿疱症など)
    重症例ではステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤などの投与が必要なこともあります。これらによる副作用に留意しながら、患者さんそれぞれの病態、病勢に応じた治療を行っています。
  • 感染性皮膚疾患(蜂窩織炎、丹毒、帯状疱疹など)
    重症の患者さんは入院治療の上、他科との連携による合併症の防止と治療、全身状態の管理を行っています。

実績

  2023
平均外来患者数 15人/日
平均入院患者数 2人/日
局所麻酔手術 39件
手術室での手術 19件

こんな症状ありませんか?

ほくろ、おでき、あざ など
色のある皮膚病変は色素を持つ細胞の増加により生じます。ダーモスコピーという器具を用いて色素の分布を確かめることで、それぞれの病変に適した加療を行っています。
体にできた帯状の水ぶくれ(帯状疱疹)
帯状疱疹の症状は、最初はピリピリと虫に刺されたような痛み、次に赤い斑点が帯状に現れます。水疱瘡が治った後の体内の神経節に残った「水痘・帯状疱疹ウイルス」が、加齢やストレスなどで免疫が低下した際に、再び活発化して症状が出るというメカニズムです。
あらゆる部位に帯状疱疹は現れますが、胸から背中にかけてが圧倒的に多いです。また、体の左右どちらか一方にだけ出ることが特徴です。昔は「帯状疱疹が身体を一周したら死ぬ」などと言われることもありましたが、そんなことは一切ありません。また、「一度かかったら再発しない病気」とも考えられていました。しかし最近は、再発する方も増えています。再発した場合は、最初にできた部位と違う場所に現れます。
基本的に飲み薬や塗り薬を処方しますが、帯状疱疹が耳や目の周り、顔面にできると角膜炎や耳鳴り、難聴、顔面神経麻痺が現れたり、陰部にできた場合は排尿障害などの合併症を起こします。このような場合は入院治療が必要になります。
強いストレスや日差しなどが引き金となって、小・中学生でも帯状疱疹になります。帯状疱疹は早めに治療を開始し、しっかり治さないと「帯状疱疹後神経痛」という後遺症に悩まされることがあり注意が必要です。妊婦やお子さん、水疱瘡に一度もかかったことがない方は帯状疱疹の部位に触らないようにしましょう。
体にできるミミズ腫れ(じんま疹)
体に痒みを伴うミミズ腫れができたときはじんま疹を疑います。じんま疹は原因の暴露後すぐに症状が出るのが特徴です。原因不明のことも多いですが、原因がはっきりしている場合は、原因の除去により症状の改善が見込めます。
肘の内側、膝裏にできる湿疹
アトピー性皮膚炎は湿疹を起こしやすい体質の方に発症し、肘の内側や膝裏に病変ができるのが特徴です。増悪因子の検索や、外用や内服治療、スキンケアを通した病勢に応じた治療が必要になります。
爪が濁っている
爪が濁る原因としては爪水虫が有名ですが、水虫が関与していなくても爪が濁ることがあります。治療方針を決めるためには検査を行い水虫菌の存在を確かめることが必要です。
白癬(水虫)
白癬(皮膚糸状菌症)は真菌(カビ)による皮膚感染症です。皮膚表面の角層にあるケラチンを栄養としており、体のどこにでも感染します。イヌ・ネコなど動物との接触や柔道など格闘技での試合を介しての感染が原因となることもありますが、最も頻度が高いのは足白癬(水虫)で感染者から剥がれ落ちたアカやフケに接触することで感染します。
(日本臨床皮膚科医会の調査から)足白癬は日本人の4人に1人、爪白癬は10人に1人が罹患していると推定されています。温泉やスポーツジム、プール、家庭ではじゅうたんやバスマットが感染源となります。ただし、皮膚に入り感染が成立するのに24時間程度かかるとされ、その間に洗い流すことでリスクを下げることが可能です。菌は湿潤した状況下で、半年以上生存する可能性が指摘されていますが、汚染されたマットなどは洗濯やアイロン掛けといった簡単な処置により除去できると報告されています。
異汗性湿疹、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、接触皮膚炎などと紛らわしいこともあり、病院では症状のある皮膚や爪あるいは毛の一部を採取し、試薬(KOH)で処理して顕微鏡で真菌を確認することで診断します。
治療の基本は抗真菌薬で外用薬(塗り薬)、内服薬(飲み薬)があります。外用薬は塗った部分にしか作用しないため副作用は少ないですが、塗る手間がかかることと角層の厚い病変や毛や爪の内側の病変では効果を期待できません。
内服薬は外用薬と比べ強力な効果を期待できますが、肝臓など内臓に負担がかかるリスクがあり、治療中は定期的な採血が必要となります。感染している部位により治療期間は変わりますが、足白癬の場合、4〜12週間の外用治療が必要とされています。
白癬そのものは直接、生命に関わる病気でないためか、治療が長続きしないことも少なくありませんが、頭部白癬では病状が悪化し、ケルスス禿(とく)瘡(そう)になると永久脱毛となる可能性があり注意が必要です。また、爪白癬では肥厚など変形が強くなると治療困難となり、早期の治療が根治を目指す上で重要です。また、糖尿病の患者さんでは爪の変形から皮膚潰瘍を生じ壊疽(えそ)に至る場合があり、フットケアの一環として治療の重要性が指摘されています。

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