循環器・高血圧センター

循環器内科の心臓血管病への取り組みについて

心臓は体の中心にあり、血管は頭のてっぺんから足の先まで体全体に分布するため、心臓血管病は全身の病気であり生命に直結する重大な病気です。つい先刻まで元気だった人が、急に生命を失ったりすることもある恐ろしい病気ですが、その反面、治療をすると劇的に治る病気でもあります。代表的な心臓血管病は、狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈などですが、当院では、適切な薬物治療はもちろん、心臓カテーテル検査(冠動脈造影、右心カテーテル検査、心筋生検、電気生理検査など)、カテーテル治療(PCI, PTMC, PTSMAなど下記参照)、ペースメーカー手術、不整脈に対するアブレーション治療など、急性期の心臓病の診療を積極的に行っています。さらに、心臓血管病と密接な関係のある睡眠時無呼吸症候群の診断・治療にも力を入れています。心臓血管病のハイリスク患者である糖尿病患者さんに対しては、糖尿病内科・井元先生のお力添えも頂き、2019年に糖尿病大血管スクリーニング検査を開始しました。糖尿病患者さんの一助になると確信しております。
八幡地区は高齢者患者さんが複数の疾患を合併しておられます。「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、木(疾患)も診るし、森(患者さん)もしっかり診る医療が出来るようにスタッフ一同2020年も邁進する所存です。何卒よろしくお願いいたします。

診療担当表

 
外来 午前 竹本 土橋 古賀 土橋 古賀
竹本
藤島 藤島 酒井 加世田 轟木
加世田 安徳   入田  
専門外来 午後 第1週
ペースメーカー
(古賀)
      第1週
ペースメーカー
(加世田)
        禁煙外来
(藤島)
検査 午前 トレッドミル
心エコー
トレッドミル
心エコー
トレッドミル
心エコー
トレッドミル
心エコー
トレッドミル
心エコー
    心筋シンチ 心筋シンチ 心筋シンチ
午後 心カテ 心カテ 心カテ 心カテ  

心臓血管病の検査・治療について

心臓血管病の検査

1) 冠動脈造影検査 (CAG)

冠動脈造影検査は、狭心症・心筋梗塞の診断確定と治療方針を決定するために大変重要な検査です。冠動脈造影検査により狭心症の原因となる動脈硬化による冠動脈の狭窄や閉塞の部位、程度を調べます。手首、肘、足の付け根(鼠径部)のいずれかに局所麻酔をし、カテーテルという管を動脈の中に入れ(図1)、冠動脈の入口に留置して造影剤という薬剤を流し撮影します。冠攣縮性狭心症と言って冠動脈のけいれんで狭心症を生じる患者さんには冠動脈の中にエルゴメトリンという冠動脈のけいれんを誘発させる薬を投与したり、冠動脈の入口と狭窄部の先の血流を測定して、その比(FFR)を算出して冠動脈狭窄の重症度を測ることもあります。検査時間は、通常10分程度(エルゴメトリン検査やFFRも測定しますと30分程度)です。終了後、カテーテルを挿入した動脈の圧迫止血を行います。通常検査を行う手首や肘であれば専用の止血用バンドを装着し、翌日朝まで経過を観ます。その間、バンドを装着した部位以外は動かしてかまいません。もちろん歩行も可能です。入院期間ですが、1泊2日から2泊3日程度です。

2) 血管造影検査

足の付け根、腕の動脈からカテーテルを挿入し、手、足、お腹、腎臓などの血管(動脈)が狭くなって血液の流れが悪くなっていないか、また血管(動脈)が拡張して瘤を形成していないかなどの検査を行います。

3) 右心カテーテル検査

足の付け根、腕、首の静脈から心臓の右の部屋にスワンガンツカテーテルを挿入し、心臓の中の圧(右房圧、右室圧、肺動脈圧、肺動脈楔入圧など)、心臓から出している血液量(心拍出量)、酸素飽和度などを測定します。心臓の機能の評価や心不全の治療方針の決定のための大切な検査です。

4) 心臓電気生理検査

不整脈の検査です。足の付け根の静脈から(ときに首や鎖骨の下)局所麻酔をして電極カテーテルを入れ、X線透視でテレビに映して場所を確認しながら心臓に進めます。数本の電極カテーテルを心臓のそれぞれの場所に置いて心臓を刺激して洞結節や房室結節の働きを調べたり、不整脈を誘発させてその原因を調べます。刺激中はドキドキしますが、刺激を止めれば止まります。刺激により不整脈が誘発されますが、逆に刺激を加えたり、くすりで止めることが可能です。どうしても不整脈が止まらない時は電気的除細動(電気ショック)を使います。不整脈の種類によってはEnSiteなどの3次元マッピングシステム(下図参照)を用いることもあります。

5) 心筋生検

拡張型心筋症・肥大型心筋症やその他の二次性心筋症など心臓の筋肉が変性して生じる病気が疑われる場合に、心臓の筋肉の一部を採取し病理学的な検査(顕微鏡、免疫染色など)を行う検査を言います。通常首もしくは足の付け根の血管から心臓まで生検鉗子を挿入して行います。

6) ポリソムノグラフィー (PSG) 検査

PSG検査は睡眠時無呼吸症候群の診断を行う検査です。睡眠時無呼吸症候群は眠っている間に呼吸が止まる病気で、医学的には10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上若しくは1時間あたり5回以上あれば睡眠時無呼吸症候群の診断になります。睡眠時無呼吸症候群を持っていると、高血圧、糖尿病のみならず、脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクが2~4倍高くなり、心房細動を含む不整脈の発症が4倍以上に増えると報告されています。さらに日中の眠気から居眠り運転、交通事後も増え社会問題にもなっています。睡眠時無呼吸症候群はCPAPという機械を寝ている時に装着し治療を行います。

7) 糖尿病大血管スクリーニング検査

糖尿病内科・井元先生のお力添えも頂き、2019年に糖尿病大血管スクリーニング検査を開始しました。糖尿病は、網膜症、腎症、神経症といった「小血管症」だけでなく、大きな血管を傷害する「大血管症」を合併することが知られています。「大血管症」とは、脳梗塞、頚動脈狭窄症、狭心症・心筋梗塞、腎動脈狭窄症、閉塞性動脈硬化症、大動脈瘤などをいい、糖尿病の患者さんは、そうでない患者さんに比べて、それらの発症リスクや死亡率が3~4倍高くなるといわれています。また、「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」では、糖尿病患者さんは大血管症スクリーニング検査を、1年に1回することが推奨されています。糖尿病患者さんは、当院の循環器・高血圧センターでの精査をお勧めします。今までに心血管病を指摘されたことの無い糖尿病患者さんの約20%(5人に1人)に心筋虚血が存在することが報告されています (Kawano Y, Takemoto M, Int J Cardiol 2016)。このスクリーニング検査を受けることによって心血管病の発症を有意に抑制出来ます。

8) 24時間心電図、イベントレコーダー、植込み型ループレコーダー

原因不明の失神、不整脈の検査に使われます。

9) 心筋シンチグラム

心筋シンチグラムとは静脈に放射性同位元素を注射し放出される放射線を撮影して放射線量をコンピュータ処理して画像にし、心筋の血流やエネルギー代謝などを画像化する狭心症などの診断に用いられる検査です。

心臓血管病の治療

1) 冠動脈インターベンション術 (PCI)

経皮的冠動脈インターベンション術 (PCI) は俗にいう風船ステント療法のことで、冠動脈の狭い部位や閉塞した部位を風船で膨らませてステントという金属の輪っかを留置して血流を改善させる治療法です。カテーテルを血管の中に通して行う治療法ですので、外科的に胸を開いて行うバイパス術に比べて患者さんへの負担が少ない治療です。急性心筋梗塞や不安定狭心症など、緊急を要する場合も冠動脈造影に引き続いて治療を行うことが出来ます。治療時間は通常30分から1時間程度で終了します。入院期間は手術前日から2泊3日から4泊5日となっています。

●ロータブレーター治療(2020年4月開始予定)

冠動脈の動脈硬化が進行すると血管の壁がコンクリートのように固く(石灰化といいます)なります。このような病変は通常の風船では治療が困難で、ロータブレーターという特殊なデバイスを用いて治療を行うことがあります。ロータブレーターは先端にダイヤモンドチップが埋め込まれた1〜2 mm径のバー(Burr)で、これを毎分16〜20万回転させることにより、コンクリートのように固くなった狭窄部分を削り取ります。

2) カテーテルアブレーション術

アブレーション治療とは、局所麻酔下にアブレーションカテーテルを足の付け根の血管から心臓に挿入し、不整脈の原因部位を同定しその部位を高周波で焼灼し不整脈が起こらないようにする根治性の高い治療法です(図1)。最新の3次元マッピングシステムも活用し高い治療成績を上げています。アブレーション治療は低侵襲的根治療法として確立されており、WPW症候群、発作性上室性頻拍症、心房粗動、心房頻拍、心房細動、不適切洞性頻脈、心室頻拍などすべての頻脈性不整脈と頻発する心室性期外収縮を対象に治療を行なっています。2019年8月から心房細動に対するアブレーション治療も開始しております(図2, 3)。さらに2020年4月から心房細動に対するクライオ冷凍バルーンアブレーション治療も開始しています(図4)

図2

図3

Medtronicより提供

※クライオバルーンカテーテル

3) ペースメーカー植え込み術

脈が遅くなることを「徐脈」と言い、めまい・息切れ・意識消失などの症状が現れ、重症化すると心停止を生じ突然死を来すこともあります。ペースメーカー移植術とは徐脈に対する治療方法で、これにより正常な脈拍を保つことが可能となります。ではペースメーカー手術とはどのような手術でしょうか?直径5cm、厚さ8mm程度のペースメーカー本体(電池)を左胸の皮膚と筋肉の間に入れ、左鎖骨の下を走っている血管から直径3mm程度の電線を1-2本心臓の中に挿入します。手術時間は1時間30分程度で、局所麻酔で内科医が行う簡単な手術です。10-11日間の入院が必要です。

●リードレスペースメーカー

2020年5月より従来の心臓リードが不要なリードレスペースメーカー移植術も当院で施行可能となり、治療の選択肢が増えています。

4) 閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル治療

腕や足の末梢動脈に対するカテーテル治療です。
矢印で示すように治療前(左図)は右下肢動脈に狭くなっている部位を認めます。バールーン・ステント治療(真中図)により、狭くなっていた動脈が広がっているのが確認できます(右図)。

5) 腎動脈狭窄に対するカテーテル治療

腎臓に血流を送る動脈に対するカテーテル治療です。腎動脈が狭くなると高血圧、心不全、狭心症などを発症することが知られています。
矢印で示すように治療前(左図)は左腎動脈に狭くなっている部位を認めます。バールーン・ステント治療(真中図)により、狭くなっていた腎動脈が広がっているのが確認できます(右図)。

6) 僧房弁狭窄症に対するカテーテル治療

左心房と左心室の間にある僧帽弁(ドアのようなもの)が狭くなる僧帽弁狭窄症に対して、井上バルーンを用いて狭くなった僧帽弁を広げる治療を行います。
矢印で示すように狭くなった僧房弁に井上バルーンを通過させた後、バルーン先端半分を拡張し(左図)、左室から引き抜き僧帽弁口に固定させます。バルーンが弁に固定すると即座にバルーンを拡張すると(真中図)、拡張最後にひょうたん型のバルーンのくびれ部分がなくなり、交連部が裂開し(右図)、狭かった僧房弁が拡張します。

7) 閉塞性肥大型心筋症に対するカテーテル治療

症状のある、薬物治療抵抗性の閉塞性肥大型心筋症に対して、カテーテルを使用して純エタノールにより閉塞責任中隔心筋を焼灼壊死させる治療法のことです(左図)。治療の仕組みは、左心室の出口(流出路)を圧排する肥大心筋に流れる冠動脈左前下行枝の枝である中隔枝にエタノールを極少量注入して、肥大心筋を焼灼し、薄くすることによって左室内圧較差を減らす治療法です(右図)。本治療の最大の特徴は、外科的切除に比べて「低侵襲」(患者さんに優しい)治療です。

心臓リハビリテーション

心臓病をお持ちの方は病気への心配から行動を控えめにされがちですが、筋力や運動機能が低下するとかえって心臓に負担をかけるので、適度な運動を続けることが非常に重要です。入院中から、筋力トレーニングと歩行や自転車エルゴメーターなどの有酸素運動を組み合わせ、血圧や心電図を観察して安全に留意しながら、病状にあわせた運動を行っていただきます。可能な方は、退院後も外来通院で運動療法を継続します。
また、運動だけでなく、正しい食事を摂る、きちんと薬を飲む、体の状態をよく観察する、などの日常生活全般にわたる注意を、患者さんご本人だけでなく、ご家族や、私たち治療者、施設の皆さんなど、患者さんを取り巻く全員で考えていく必要があります。このような心臓病の安定や再発予防への全体的な取り組みを「包括的心臓リハビリテーション」と呼び、当院でも、医師、看護師、理学療法士、栄養士、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど、多くの職員が協力して、患者さんお一人お一人について、きめ細かく対応しています。
患者さん、ご家族も含めたチームで、心臓病と向き合っていきます。

実績

2019年治療実績

不整脈治療  
アブレーション 75
心房細動 45
電気生理検査 5
ペースメーカー(新規/交換) (25/23)
精密PSG(睡眠時無呼吸検査) 6
睡眠時無呼吸簡易検査 60

主な心血管内治療

動脈硬化治療  
冠動脈インターベンション 155
急性冠症候群 20
薬剤溶出性バルーン 19
血管内超音波検査 155
冠血流予備能比 61
大動脈内バルーンポンピング 6
経皮的心肺補助装置 0
心筋生検 5
右心カテ 63

論文・著者

論文・著書の表題名 執筆者名(全て) 発表誌/年月日
64列CTを用いた心房細動アブレー
ション用心臓CTによる冠動脈解析の有用性についての検討
髙橋寛敏、竹本真生、奥之薗斉美、
前田康太、小方優典、藤本康介、
奥之薗祐一、長谷幸宜、上田亮治
(投稿中)
Importance of the Length of the Myocardial Sleeve in the Superior Vena Cava in Patients with Atrial Fibrillation. Nyuta E, Takemoto M, Sakai T, Mito T, Masumoto A, Todoroki W, Yagyu K, Ueno J, Antoku Y, Koga T, Ueno T, Tsuchihashi T. (投稿中)
Impact of Cardiovascular Screening Tests inPatients with Type 2 Diabetes Mellitus without Previous Histories of Cardiovascular Disease: 5-year Clinical Outcomes Antoku Y, Takemoto M, Mito T, Shiiyama R, Otsuka-Morisaki H, Tanaka A, Maeda Y, Tsuchihashi T. (投稿中)
Impact of Serum Cholinesterase Levels in Patients with Coronary Artery Disease. Mito T, Takemoto M, Antoku Y, Tanaka A, Matsuo A, Hida S, Yoshitake K, Kosuga K, Miura S. Intern Med, in press
Fallot四徴症術後遠隔期に高度右心不全を来した高齢女性の一例. 柳生圭士郎、竹本真生、入田英二、轟木渉、加世田繁、藤島慎一郎、
古賀徳之、土橋卓也.
心臓, in press
Radiofrequency Catheter Ablation of Premature Ventricular Contractions from the Mitral Annulus in Patients without Structural Heart Disease Antoku Y, Takemoto M, Tanaka A, Masumoto A, Mito T, Ueno T, Tsuchihashi T. PACE.
2020. DOI: 10.1111/pace.14063
Evaluation of coronary artery disease in patients with atrial fibrillation by cardiac computed tomography for catheter ablation: CADAF-CT trial Mito T, Takemoto M, Antoku Y,
Masumoto A, Nozoe M, Kinoshita S,
Tanaka A, Yamamoto Y, Ueno T,
Tsuchihashi T.
Heart and Vessels.
2020; 35: 1037-1043 
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7332475/pdf/380_2020_Article_1572.pdf
Evaluation of Coronary Artery Disease by Cardiac Computed Tomography for Catheter Ablation of Atrial Fibrillation. ~ CADAF-CT trial 2~. Antoku Y, Takemoto M, Mito T, Masumoto A, Nozoe M, Tanaka A, Yamamoto Y, Ueno T, Tsuchihashi T. Intern Med.
2020. doi:10.2169
/internalmedicine.4745-20
https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/advpub/0/advpub_4745-20/_pdf/-char/en
A Case of a Figure of Eight Atrial Tachycardia after a Pulmonary Vein Antrum Isolation of Atrial Fibrillation. Antoku Y, Takemoto M, Suetsugu F, Tsuchihashi T. JMA journal.
2020.
DOI:10.31662/jmaj.2020-0018
https://www.jmaj.jp/
Achievement rate of blood pressure <140/90 mmHg and <130/80 mmHg in subjects with hypertension; findings from a Japanese health checkup in 2017. Fujishima S, Kodama S,
Tsuchihashi T.
Clin Exp Hypertens.
2020; 42: 648-655.
Current prescription status of antihypertensive drugs with special reference to the use of diuretics in Japan. Ibaraki A, Goto W, Iura R,
Tominaga M, Tsuchihashi T.
Hypertens Res.
2017; 40: 203-206.
Relationship among multifaceted factors including blood pressure at discharge and long-term clinical outcome in patients with cardiovascular diseases. Fujishima S, Takiguchi T, Ibaraki A, Shimazoe H, Hagiwara R, Koyanagi Y, Nyuta E, Kaseda S, Koga T, Tsuchihashi T. Clin Exp Hypertens.
2016; 38: 725-732.
Low diastolic blood pressure was one of the independent predictors of ischemia-like findings of electrocardiogram in patients who underwent coronary angiography. Fujishima S, Murakami N, Haga Y, Nyuta E, Nakate Y, Ishihara S, Kaseda S, Koga T, Ishitsuka T. J Cardiol.
2013; 62: 230-235.
Effects of intravenous nicorandil on the mid-term prognosis of patients with acute heart failure syndrome. Ishihara S, Koga T, Kaseda S,
Nyuta E, Haga Y, Fujishima S,
Ishitsuka T, Sadoshima S.
Circ J.
2012; 76: 1169-1176.

こんな症状ありませんか?

胸が締め付けられるように痛む
胸が締め付けられるように痛んだり、重いもので胸が押されるように感じたりすることはありませんか?このような症状がある方は、狭心症という病気の可能性があります。狭心症とは、心臓の筋肉に血液を送る血管(冠動脈)が何らかの原因で狭くなる病気です。
狭心症の原因の一つに、動脈硬化があります。動脈硬化は糖尿病や高血圧、脂質異常などの生活習慣病や加齢、喫煙などの影響で進行します。動脈硬化による狭心症は、運動中など心臓の動きが激しくなるときに症状が出やすいのが特徴です。しかし、病状が進行すると、安静にしていても症状が出現するようになったり、痛みが長く続くようになったりします。
狭心症のもう一つの原因として、冠動脈が一時的にけいれんを起こして細くなってしまう冠攣縮性(かんれんしゅくせい)狭心症があります。おもに安静時、朝方や寝ている時、寒いときなどに出現しやすいといわれています。喫煙が大きな危険因子の一つです。
完全に冠動脈が閉塞してしまうと心筋梗塞が起こってしまいます。このほか、重症の弁膜症や大動脈解離などでも胸痛が生じることがあり、放置すると大変危険です。上記のような症状がある際は早めにご相談ください。
血圧が高い
健康診断などのほか、最近ではご家庭でも血圧を測っておられる方が増えていますが、血圧が高い場合はご自分だけで判断されずに、ぜひ医療機関にご相談いただきたいと思います。
血圧が高い場合、一時的に血圧が高くなっている場合と、本当の高血圧症の場合があります。一時的に血圧が高くなっていると思われる場合には、少し時間をおいて、痛みや不安・緊張など血圧が高くなりそうな原因がおさまった後で、もう一度、血圧を測り直してみてください。
一方、高血圧症は、繰り返し血圧を測って判定する必要があります。家庭などで測定した血圧がいつも135/85 mmHg以上の時には高血圧症の可能性があり、血圧に対する治療が必要となります。高い血圧を放置すると、将来、脳卒中や心臓病、腎臓病を起こす可能性が明らかに増えることがわかっています。高血圧症の治療の第一歩は生活習慣の見直し、次にお薬です。循環器・高血圧内科では、患者さんご自身と医療スタッフ(医師・看護師・薬剤師・管理栄養士)とが協力して、高血圧症治療を行ってまいります。どうぞお気軽にご相談ください。
動悸がする。心拍数が乱れる
動悸とは、胸がドキドキする感覚ですが、その感じ方は人によってさまざまです。胃の中から心臓をつかまれているような感じといわれる方もおられます。不安なときや興奮したときなどに病気でなくても動悸を感じることがありますが、心不全や不整脈などの心臓病が原因になっている可能性もあります。
心臓の働きが弱っている時(心不全)は、少し動くと脈が速くなって動悸を感じます。息切れ、体のむくみ、疲れやすさなどの症状も伴っていれば、心不全が強く疑われますので、早めに受診いただく必要があります。
不整脈とは、心臓が収縮するリズムが乱れてしまうことです。全て心拍数が速くなるとは限らず、極端に遅くなっている場合もあります。不整脈の中には、放っておいても問題ないものから、脳梗塞や心不全、立ちくらみや失神などを引き起こす危険なものまでさまざまな種類が存在し、正確な診断には、その不整脈が起こっている時に心電図を取る必要がありますが、24時間心電図、携帯心電計、運動負荷心電図検査などで診断できることもあります。
何か異常をお感じでしたら、お気軽にご相談ください。
息切れがする。むくみや体重の増加が気になる
顔や手足のむくみ、息切れが出現する原因はさまざまですが、その一つに心不全があります。なぜ心臓が悪い時に息苦しくなるかというと、心臓が悪いと肺の血流も悪くなるためです。また、心臓と腎臓(尿を作っている臓器)も密接に関わっており、心不全になると尿量が減り、水分が体内に溜まりやすくなることも、全身のむくみの原因のひとつです。
水分が体に溜まると体重が増えますので、体重の変化は体のむくみを知る手がかりになります。普通の「肥満」とちがい、水分貯留による体重増加は、数日~数週などの短期間でも現れますので、急に体重が増え息切れなどの症状もともなう場合は、心不全が原因ではないかと疑う必要があります。
心不全はさまざまな疾患が原因で起こります。近年増加している高血圧や糖尿病などの生活習慣病による動脈硬化から、心臓弁膜症、不整脈、感染症、ホルモン異常、また、原因がはっきり分かっていないものもあります。むくみ、息切れ、体重増加などが気になる方は、早めにご相談ください。
足の親指が腫れる
痛風は尿酸が関節や腎臓のなかで結晶となってとどまり、炎症を起こすことで関節の激しい痛みや腎機能障害をもたらします。特に足の第1趾(親指)の付け根が好発部位です。足は体の中でも温度が低いので尿酸が結晶になりやすく、ゴルフの時のように硬い靴を履いて歩くと、その刺激で関節に張り付いていた結晶が関節腔内にはげ落ち、そこを白血球が攻撃して激しい炎症を起こします。
尿酸値が7.0以上は要注意、8.0を超えると痛風の発症リスクが高くなります。最近は尿酸が高いことは、痛風がなくても腎機能障害や脳卒中、心筋梗塞などのリスクも上げることがわかってきました。尿酸が高い場合は、生活習慣の改善や薬物治療によって6.0以下を目標として下げる必要があります。
食事療法で大切なのは、飲酒制限と肥満の是正です。よく「ビールは悪く焼酎はいい」と言われます。確かに尿酸の原料となるプリン体はビールに多く含まれますが、アルコールそのものが尿酸値を上げますので「ビール以外ならいい」訳ではありません。
また、焼き鳥(バラ、肝など)、アジの開きなどの食品には、ビールよりプリン体が多く含まれています。「プリン体を制限する」というのは結構難しいものです。一方、野菜、海藻類、乳製品などをたくさん摂取し、水分を十分に取ると尿がアルカリになり、尿酸が尿に溶けて体外に排泄されやすくなります。「お酒控えめ、カロリー控えめ、野菜たっぷり。運動して水分補給」が尿酸を上げないコツと言えます。健診で尿酸値が7.0以上の方は生活習慣を見直し、それでも下がらない場合は、是非ご相談ください。

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